約 3,643,309 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3889.html
※ゆっくりいじめ系2348 ゆっくりが嫌われるまで の別視点からの話です。 ゆっくりまりさが嫌われるまで 作者:古緑 ゆっくりまりさはずっと町に行きたがっていた。 狩りの間に時間を作っては山と道路の境にある背の低い叢から町並みを眺めていた。 家族と一緒の山が嫌いなワケでは無かったが、町は憧れだったのだ。 夜でも明るく照らされた綺麗に舗装された道路、どこかから来る料理のいい匂い。 部活帰りの中学生の楽しそうな笑い声、 ゆっくりした音楽を流しながらゆっくりと走る豆腐屋や灯油屋の車、 人の作った様々なモノがある町は憧れだったのだ。 そんな日々を続けたまりさはある朝、 いつものように休憩時に町を眺めていると 高校生ぐらいの男とゆっくりれいむが叢の前を並んで通り過ぎて行くのを見た。 笑顔のゆっくりれいむと男の距離は近く、仲の良い事はまりさにも容易に分かった。 まりさはまさか人と仲良くしているゆっくりが既に町にいるとは思ってなかった。 それもその筈、この町でゆっくりを飼っている者はまだこの男とその家族しかいない。 そんな珍しい飼いゆっくりと遭遇出来た事、 それはまりさにとって願っても無いチャンスだった。 人間がどういう生き物か知らないまりさにとって、 自分と同じゆっくりと一緒にいる人間と、 人間について良く知っているであろうれいむは話しかけ易かったのだ。 まりさは叢の中からゆっくりれいむに向かって、 ずっと訊きたかった事を一つだけ訊いた。 「ゆっくりしていってね! れいむ、まちとにんげんさんはゆっくりしてる?」と。 唐突な質問だった。 まりさは緊張していたのだ。 そんな問いにゆっくりれいむは戸惑い、答えない代わりに頼るように男を見上げた。 この時まりさはこのゆっくりれいむが自分の意見を述べるよりも先に 人間に意見を求めるぐらい人間に依存し切っている事には気付きもしなかったが、 男はゆっくりれいむに向かって次のように言った。 「珍しいなこんなトコに…。 れいむ、ゆっくりまりさが訊いてるぞ 町と人間はゆっくりしてるかどうかだってさ」 「まちとにんげんさんがゆっくり?」 このゆっくりれいむはまだ目も開かないような小さい頃に 山に近くの道路に捨てられていたのを男に拾われてから、 あまりに男とその家族に愛されて育てられた為、 何かに対して自分の意見を持つ事も、 現状について悩む事も殆ど無かった。必要なかったと言うべきか。 何か人の問いに答える時は今のように男に一言訊くのが常だったし、 男もそれはよく分かっていたので、分かり易くれいむに説明する。 「良くわかんねぇかな つまり俺達がゆっくりしてるかどうかと、 れいむが住んでるところがゆっくり出来るかどうか訊いてるんだろ」 「れいむもおにいさんもゆっくりしてるよ!」 笑顔のれいむは大きな声で即答した。 その答えに嬉しそうに笑う男はまりさに向かって告げた。 「だってよまりさ。町も人間もゆっくりしてるってさ」 男の返事に興奮したまりさは胸を高鳴ならせ、男達に近づいていった。 ゆっくりにしては少し恥ずかしがり屋なところのあるまりさは、 れいむ達に無視されたらどうしようかと思っていたのだ。 それにゆっくりと人間の口から『人と町はゆっくり出来る』と聞き、 町について色んな事を聞きたいというまりさの欲求はいよいよ抑えきれなくなった。 それから毎朝の散歩で叢の前を通り始めた男達とまりさは友達になり 男はまりさに町の話は勿論の事、ゆっくりでも出来そうな人間の子供がする遊びも教えたし、 家族へのお土産にと半球にしたレタスを渡す事もあった。 この時の男はゆっくりに対してとても好意的だったのだ。 「それじゃあゆっくりしてくるね!」 春の暖かさが感じられる4月のある晴れた日、 群れの皆にそう告げるゆっくりまりさの心は不安と期待で一杯だった。 「ゆっくりできなかったらすぐにかえるからね!まりさ!」 ありすを説得するのは骨だったが、 ありすが本当は自分と同じように興味を持っていると確信していた。 なにしろ子供の頃からずっと一緒にいるのだ。 ありすが素直じゃない事はまりさもよく分かってる。 「ひっこち~♪ゆっくち~♪」 「ありしゅのでびゅーのひがきたようね!」 二人のまりさとありすが一人と、子にも恵まれた。 おちびちゃん達にももっとゆっくりして欲しい。 危険だなんて言うゆっくりもいたけど山の方がずっと危険で一杯だ。 れいむ達だってそう言っていた。 言い伝えで怖い所だって事も聞いてる。 『あそこは嘘と欲と殺意で満ちた』…ナントカカントカだって。 でも誰もあそこには行った事は無いし、そんな事本当かどうか分からない。 群れの中であそこまで行ったゆっくりはいないんだから。 「それじゃあまちでゆっくりしてくるよ! しんぱいしないでゆっくりまっててね!」 まりさ達はこの日、ゆっくりと山を降りた。 町が本当にゆっくり出来るかどうかを確かめる為に。 「「「ゆんゆんゆ~♪ゆんゆゆゆ~♪」」」 まりさとその家族は夕方近くには既に町近くの叢まで来ていた。 子供達は家族揃ってのお出かけは久しぶりなのでずっとはしゃぎっぱなしだ。 ここまで来るまでの間もずっと楽しそうに歌を歌ってる。 だがありすだけはまだ不安そうだった。 まりさから人間や町についての話を毎日のように聞いていたし、 優しい人間から貰って来たというお土産の事も疑ってはいない。 だがやはり見た事の無いモノはありすにとって不安なのだろう。 まりさにはそれが分かっていたし、ありすを安心させて上げたかった。 だからこそまりさはありすに証明して上げる事にした。 人間が自分達を虐めない事を。 「やだカワイー!!ゆっくりじゃん!」 「ゆっ?」 叢から道路に一匹で出てから十数分。 まりさは後ろから甲高い何かの声をその肌に聞いた。 まりさはバタバタと何かがゆっくりせずに近づいて来るのは分かったが、 振り向いた瞬間にそれが自分の前にしゃがみ込んだのを見てやはり人間だったと理解した。 「しかもゆっくりまりさ!ゆっ…ゆっくりしていってね!?」 「ゆっくりしていってね!」 戸惑いながらも本能に沿って律儀に返事をするまりさ。 れいむのお兄さん以外に初めて話す人間だ。 その人間の脚の間からに背の低い人間が3人、走って近づいてくるのが見えて まりさはあまりの急展開に怖くなって逃げ出そうと思ったが無駄だった。回り込まれた。 まりさはありすを安心させる為に一人で道路に出て、 人間がゆっくりを虐めない事をありすに証明しようとしたのだ。 (ありすには子供達と一緒に隠れて見ているように言っておいた) まりさはれいむのお兄さんから 「良い子にしていれば人間はゆっくりを傷付けたりしない」 と聞いていたので少しは余裕を持って人間と接する事が出来るつもりでいたが、 流石に今の展開には慌てた。 四人がかりで囲まれるなんて予想していなかったのだ。 「何なの○○?イキナリ走り出して…って何ソレ!?」 「知らないの?ゆっくりって言うんだよ ちょっと一回『ゆっくりしていってね』って言ってごら」 「ゆっくりしていってね!」 まりさがまたその言葉に反応して返事をした。 この時、まりさが人間に囲まれているのを見て、ありすは気が気で無かった。 直ぐにでも飛び出してまりさを引っ張って行きたかったが、 子供達がいる事と、まりさが安心して待っててね!と言っていたので 今は様子を見るしか無い。 「ゆっくりって!何でこんなトコにいるの!?」 「そんなの知らないけど…カワイーでしょ?」 「か…可愛い…?っていうか…生首…?」 「(ホラ○○ってちょっとキモかわいいのが好きだから…)」 「え?アタシも割と可愛いと思うけどな ねぇソレって触って大丈夫なの」 まりさ達に近づいて来たのは下校中の小学生だった。 戸惑うまりさを置き去りにまりさを抱き抱えた女の子は ゆっくりの事を説明しながらまりさの頬を引っ張ったりつついたりしている。 「ゆっ…!ゆっ…!やめてね!ゆっくりやめてね!」 そんな時間が10分も続くと 「ねぇもういこーよ」 元々ゆっくりに対してあまり興味の無さそうだった3人のうち一人が いつまでもまりさの体をつつきまわして遊ぶ女の子に向かって言った。 「もーちょっと…」 「あっ、アタシ五時からピアノだからもう帰るね」 「そう?ごめんアタシもうちょっといるから先帰ってていいよ ごめんね待たせちゃって」 「んん、じゃーまた明日ね○○ー!」 解放されるかも、という期待は裏切られ 少女と二人っきりになってしまったゆっくりまりさ。 少女は手を休める事は無かった。 触り心地がいいのだろう、ゆっくりの頬は。 「ごめんねーまりさ、ゆっくりしていってねー?」 「ゆっくりしていってね!」 まりさがこの台詞を言わされるのはとうとうこれで30回目となった。 何度言ってもこの台詞が嫌いになる事はないが、 いつまでもまりさを放さない少女の強引さにゆっくり出来ないと感じ始めた頃、 とうとうまりさは解放された。 「さてアタシもいい加減もう帰んなきゃね…ごめんねまりさ ちょっと待っててね?」 解放されたまりさはゴソゴソと赤いランドセルを漁る少女をゆっくり眺めていた。 ありすはこれでも人間が怖くないと言う事をゆっくり理解してくれただろうか? そんなことを考えているまりさに対して、 少女は宝石のような飴玉をいくつもその手に乗せて差し出した。 「ハイ、これ上げる 好きなんでしょ?甘い物 お友達にも分けてあげてね」 「ゆ?」 「飴っていお菓子で食べられるものなの、 とっても甘くって…『ゆっくり出来るモノ』だと思うよ 直ぐに飲み込まないで口の中で舐めるんだよ、噛んじゃ駄目だよ?」 「ゆっくりたべるよ!」 まりさは少しだけ躊躇したが、 悪意の映らない少女の『目』を見たまりさは、少女を信頼して一粒の飴玉を口にした。 『ゆっくり出来る』まりさの頭の中はその甘さひとつだけに支配され 少女が『おいしい?』と訊いても答えられない程、甘さに酔った。 『ゆっくりしていってね?』と言われた時は流石に31回目の返事を返したが。 「じゃアタシ今日は帰るから 帽子の中に隠せるんでしょ?これ全部上げるね じゃあねまりさ!明日も来てね!」 「にんげんさんありがとう!ゆっくりしていってね!」 手を振る代わりに飛び跳ねて少女を見送るまりさは この飴玉さえあればありすは納得してくれるに違いない、 帽子の中に丁度家族分の5つの飴玉を感じながらまりさはそう思い、 人の住む町をもっともっと知りたいと思った。 「ついてらっしゃいまりさ!ゆっくりできるおうちをさがすわよ!」 「「「ちゅいちぇらっちゃい!!」」」 それから数十分後、まりさ達は通学路を辿ってある団地まで来ていた。 全てを見ていた上で飴を一つ食べたありすは既に不安など吹っ飛び、 まりさ以上に乗り気になっていた。 まりさはありすが分かってくれたのは嬉しかったが、既に時は夕方の5時。 ひとまず町を探検するのは明日にして今日はお家を探さなくては。 まりさはとりあえず仮の宿で良いから雨風の防げて、ある程度の広さがある 今までのようなお家があればいいな、と思いながら 家と家の間を縫うように跳ねていた。 (広い道路はお家作りには向いてないと三十分程車道を歩いて知った) その時 「ねぇ、まりさ、あそこのすきまなんてどう?」 「ゆ?まりさたちのおうちみたいだね!」 ありすが目で示したその方向には三十センチ程の、 まりさ達がギリギリ通れそうなぐらいの狭い穴があった。 本当は人間の住む家屋の窓なのだが、 この時家の人間が戸締まりを忘れたのか開いていたのだ。 まりさはその穴を見て山の中での自分達の家の入り口を思い出し、 ちょっと見てみようという気になった。 「まりさがゆっくりみてくるよ! ありすたちはそこでゆっくりしててね!」 「おかあしゃん!ゆっくちきをちゅけちぇね!」 窓は少し高い場所にあったが、裏庭に積み上げられたガラクタを乗り継いで なんとか登ってこれた。 窓の中は薄暗くて分かりにくかったが、 思い切って一歩中に踏み込むとまりさは地面へと落下した。 「ゆあぁあああぁぁあぁ!?」 「まりさ!?どうしたのまりさ!!」 「あああぁああぁぁぁぁ! ……ゆっ?」 落ちたまりさを迎えたモノは柔らかい三人掛けのソファと、小さく光る台所の豆電球だった。 落下の衝撃を吸収したソファの柔らかさはゆっくりの頬のように柔らかく、 まりさはこのソファを一発で気に入ってしまった。 「まりさ!まりさ!!だいじょうぶなの!?」 「ありす!だいじょうぶだよ!ゆっくりできるよ! あなからゆっくりはいってきてね!」 まりさはそう言うと家族とぶつからないようにソファから飛び降りた。 すると今度はツルツルした木のフローリングの床がまりさを迎えた。 先程までのアスファルトの地面で少し底部が痛くなっていたので この床もゆっくり出来るとまりさは思った。 「ゆあぁあぁぁぁー!ゆっ!?ふかふかー!!」 「ゆっくちできるふかふかさんね!」 ありすと一緒に子供達も窓から無事入る事が出来たので、 まりさがさぁお家を探そうと辺りを見回したその時、 ソファの下にちょうど良い隙間があるのが分かった。 ここなら雨風の心配は無いし(元々家の中なので心配ないが) 綺麗なふかふかも近くにある。 それに誰も住んでいないみたいだし、まりさは仮の宿どころか 永遠にお家にしたいぐらいソファの下が気に入った。 (近くにご飯を取れる場所があるかどうかの心配は有ったが) 「ありす!ここならゆっくりできそうだよ!ここにまりさたちのおうちをつくろうよ!」 「ゆっ?ほんとうだわ!とかいはなおうちになりそうね!」 人の町にはこんなに良い所があるのにも関わらず 誰も手をつけてない場所がある事にゆっくりまりさは感動した。 人間達はやっぱりゆっくり出来る処に住んでいたんだと、 ゆっくりまりさは今までずっと町に来なかった事で損していたと思い、 ほんの少しだけ人間に嫉妬した。 「そうときまったらさっそくはじめるよ! みんなでくささんやはっぱさんをあつめようね!」 「ゆっくちあつめるよ!」 草やはっぱを集めて家の中に敷き、絨毯の様に使ったり、柔らかいベッドを作る。 まりさの群れでは皆していることだ。 「でもまりさ…このへんにくささんなんてあまりないみたいよ?」 「ゆ…?」 その通りだ。人間の家には草は葉っぱも、枯れ葉すらも無い。 テーブルの上に小さな観葉植物があるぐらいだ。 どうしたものか…とまりさは悩んだが、 あるモノがその目に入った時、まりさの餡子脳に素晴らしい考えが閃いた。 「ありす、これがあればだいじょうぶだよ!」 まりさの目に入ったモノは広げられたまま椅子から垂れ下がった新聞紙。 まりさの閃きとは草葉の代わりに新聞紙を使う事で代用出来るのではないかと言う事だった。 大きな葉っぱを子供用の繊細なベッドにする為に 細かくちぎったやった事があったが、それと同じ事だ。 まりさは新聞紙の端を銜えると、身を捩って新聞紙を引き裂く事に成功した。 それからは早かった。まりさとありすで新聞紙をある程度の大きさに千切って 子供達にソファの下に運ばせる。作業の途中でティッシュを見つけて同じ事をしたが、 柔らかすぎるため、やはり新聞紙を使ってお家作りをするのが一番だと分かった。 「ゆふー!もういいよありす!これでじゅうぶんだよ!」 「まりさ、おちびちゃんたちがおなかすかせてるわ ありすもいくからごはんをさがしてきましょ?」 「そうだね!ゆっくりさがしてくるよ!」 もう時は夕方の6時。 山だったらとっくに御飯を済ませてゆっくりおやすみ、という時間だ。 でもお腹を空かせてはいられない。明日も町を探検するんだ。 子供達の安全の為に巣を新聞紙で簡単に隠すと、まりさとありすは 家の中を御飯を探しに跳ねて行った。 「ゆっ?このうえからいいにおいがするわね!」 ありすとまりさが見上げたその先にはテーブルがあり、 そこからテーブルの大きさに合わずに だらしなく下がったテーブルクロスが地に向かって伸びていた。 更にクロスの上には布を被せられた焼そばがあり、 まりさはこの上にいい匂いの元があると確信したが どう頑張っても登れそうにない高さだったので 試しに上から伸びている布を跳ねて噛み付き、引っ張ってみた。 これは山でも地面近くに垂れている枝に同じ事をするとしばしば虫が落ちてくるという まりさなりの普段の狩りの方法に則ったやり方である。 ガランガランガランベシャガシャンバリンガシャシャン 「ゆぎゃぁああぁあ!!」 「まりさぁぁああぁ!?」 成功した。 まりさの今の行動によって子供向けのアニメの絵が描かれた プラスチック製の皿に盛られた焼そばと、 ついでにそれの近くにあった陶器のお皿と小さな観葉植物の鉢も落ちて来た。まりさの顔に。 「だいじょうぶまりさ!?ゆっくりしていってね!?」 ブチ撒けられる焼そばと陶器の破片、そして割れた鉢。 ぺろぺろとまりさの頬を舐めるありすは まりさの肌の上の焼そばのソースを舐めとった時、 自分達が落とそうとしたモノが何だったか思い出した。 「まりさ…これ、たべられるものよね…?」 「ゆっ?いいにおいがするよ!ゆっくりあじみするね! む~しゃ、む~…!?しっ!?しあわせえええええ!!」 まりさは今まで食べたも無いようなモチモチした麺や、さくさくしたキャベツの食感、 ジューシーな豚肉の中に先程食べた飴以上の『ゆっくり』を感じた。 味付けは濃い目だったもののその旨味は雑草とは比べ物にならない。 まりさはまるで麻薬のように誘うその焼そばの幸せを 子供達にも上げなくてはと、未練を断ち切るのにゆっくり苦労した。 「む~ちゃ!!む~ちゃ!!ちあわちぇえぇぇ!!!」 「よかったねおちびちゃんたち!おかあさんもうれしいよ!」 「まりさ、ありすたちはこっちのはっぱさんをたべましょ? はっぱさんもゆっくりできるわよ」 結果から言うと焼そばの量は子供達には多く、 子供たちが満腹になり、まりさ達が草だけの食事を終える頃になっても まだ半分近くは残っていた。 まりさ達は明日の朝にも食べられるようにその中から少しだけ焼そばを残して、 ありすと一緒に残りの焼そばをゆっくりと味わった。 このゆっくりプレイスで食事を取ってから、ゆっくりまりさは 食後の運動と家族みんなで隠れんぼをして遊んだ。 れいむのお兄さんに教えてもらった遊びの一つだが、 山で遊ぶのは子供達には危険過ぎる遊びなので これが初めての家族揃っての隠れんぼとなった。 十分に楽しんだ後は忙しい一日に疲れた子供たちは隠れてる内に寝てしまい、 それを見つけたまりさとありすは眠る子供達を愛おしそうに眺めると 子供達を口に銜えてソファの下へと戻って休む事にした。 まりさ達家族が寝たのは8時過ぎ。久しぶりの夜更かしだった。 人間が家に来たのはそれから一時間後の事だった (続く)
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/786.html
書きたかった事 親は子を見限れるのか でぶれいむ。ぶよぶよ 注意点 口の中いっぱいに食べたら一日分の食事くらいの設定です 作者 チェンマガツ 「「ゆっくりしていってね!!」」 「「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!」」」」 うららかな陽気に誘われてまりさとれいむ、そしてその子供達いずれもれいむ種の四匹が背の低い草が生い茂る原っぱで思い思いにくつろいでいる。 両親は子供達が遠くに行かないよう見守り、子供達は四匹仲良くかけっこや押し合いを興じている。 今年の冬も無事越す事ができ、順調にご飯も集まったことから早めの子作りをして番は群れのゆっくり達よりいち早く幸せそうな日々を送っている。 れいむが子供達を呼ぶとその小さな体で一生懸命に跳ねてくる。 そよそよと撫でるように静かに吹く風やその大きさの割にのっそりと動く雲のおかげでここはとてもゆっくりできる。 そして番と子供達は寄り添って昼寝を始める。 天高く昇った太陽が体を温めてぽかぽかと気持ちよく、日光はまるで餡子にまで染み渡るようだ。 そんなゆっくり達の平穏を破る者が現れた。 片手に鞄を持った人間だ。わざわざゆっくりがいる森の奧までハイキングをしてくるような変わった男である。 「ゆっくりしていってね!!」 無防備に眠っているゆっくりの家族に向かって男は挨拶する。 すると眠そうな目をしながら律儀に挨拶を返してきた。 「「ゆっくりしていってね!!」」「「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!」」」」 「おにいさん、ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだからでていってね!!」 「まあそんな事言わずにここでゆっくりさせてくれよ」 「れいむたちはねむねむなんだよ? そんなこともわからないの?」 「せっかく君たちに美味しい食べ物を持ってきてやったんだがいらないのかい?」 男のその言葉に反応したのは子供達だ。今は睡眠欲よりも食欲が優先される時期なのだろう。 男の足下まで跳ねてきて、我先にとぴょこぴょこと垂直に飛び上がる。 「しょれってゆっきゅりできりゅ?」 「ああできるとも」 「れいみゅにいっぱいちょうらいね!!」 「れいみゅも!! れいみゅも!!」 「はいはい順番にね。お前達はいらないのかい?」男は番であるまりさとれいむにも呼びかける。 「ゆゆっ!! れいむたちにもちょうだいね!!」 「よしよし」 どうやら家族全員が男からのご飯に興味をもったようである。 男は手持ちの鞄から大きいおにぎりを一つ取り出しゆっくり達の背後に向かって放り投げた。 すると男の手を離れ放物線を描くおにぎりを家族全員が目で追う。 そしてゆっくり達は一目散に駆けだした。 おにぎりに一番近い位置にいるのは親であるまりさとれいむであり、あっという間におにぎりに食らいついていた。 それに遅れたのは子供達である。男の足下にいたうえ、親よりも移動速度も遅いのだ。 急いで跳ねていくがきっと辿り着いた頃には無くなっているだろう。 「にゃんでにゃげたのー!!」 「ゆえーん、いじわるしないでにぇ!!」 男に悪態を付きながら必死に跳ねていった。 そのうちの一匹の赤れいむが出遅れた。 男の足下で跳ねていて丁度着地してグニャっと変形しているときに男がおにぎりを投げた赤ゆっくりだ。 姉妹達の様子からようやくご飯が遠くにあることを知って、泣きながら後を追い始めたが完全に出遅れていた。 男はその赤れいむを見逃さなかった。 素早く背後から捕まえては叫ばれないように口に粘着テープで蓋をする。 さらに後ろ髪のリボンともみあげの飾りを奪って鞄の中から透明な箱を取りだしてそれにれいむを放り込んだ。 次に男が取り出したのは別の透明の箱でその中には飾りのない同じ大きさの赤れいむがいた。 そのれいむにこれまた素早く先程奪った飾りを取り付け、怪我をしないようそっとご飯の近くに投げた。 もちろんこの間の男の行動を家族のどのゆっくりも見ていなかった。それほど男の与えたご飯に注視していた。 そして男は静かにその場を去った。親であるれいむとまりさは自分の子供の中身がすり替わった異変に気が付くだろうか、いや気が付かない。 飾りで個体識別をするゆっくりにとってもはや本体は付属品なのだ。 まるでおまけ付きお菓子のような存在である。 余談はさておきゆっくりの家族の様子を見てみよう。 「うっめ、めっちゃうっめ」 男の投げたたった一個のおにぎりを親まりさと親れいむは二匹で食べ終えてしまった。 「おかーしゃん、おにいしゃんのごはんは?」 「ゆあああ、おいしくてぜんぶたべちゃったああああ」 「どおじでわけてくれにゃいのぉぉぉ」 「おかーしゃんのばきゃぁぁぁぁ」 「ごめ゛んね゛えええええええ」 泣き崩れて情けない表情の親子の元に男によって中身の変えられた赤れいむが近づいてきた。 「おなかへっちゃからごはんちょうらいね!!」 「ゆう?」親まりさは声のトーンが少し低いその赤れいむを少し不審に思った。 こんな声の子供がいたっけ。でも姿は間違いなくまりさの子供だし……。 だがそれ以上まりさは深く考えない。 「みんなおうちにかえってごはんたべようね!!」 「「「「ゆゆ~ん」」」」 親まりさは自分の気持ちを一旦押し込めて子供達のご飯を与える事を先決した。 どうせ気のせいだろう。よく思い出せば前からこんな感じだったさと何とも楽観的に考えながら家族仲良く帰宅したのだった。 「こんにゃのじゃたりないよ!! もっちょもってきてにぇ!!」 「おちびちゃんちょっとたべすぎだよ……」 親達が保管していたご飯を子供達に配り、皆で食べ終えさらに一匹だけおかわりをした直後の赤れいむの台詞である。 残り三匹の赤れいむはと言えば、お腹いっぱいで丸々としたその姿のせいかころころと巣の中を転がり回っている。 しかし残り一匹の様子がどうもおかしいのだ。 この一匹は親まりさが昼間の原っぱで異変を感じた一匹だったが、どこがおかしいのかわからないでいる。 「ゆゆっ……、しかたないからもうすこしもってくるね」 そう言って親れいむは食物庫に入っていく。食べ物の保管量に関しては申し分無いのでなんら問題ないが、今までに無い事態に少し戸惑っていた。 「れいむはそだちざかりなんだね!!」 親まりさはむしろそれを喜ぶ事にした。そうだ自分達が子供の頃もこれくらい食べたものだ。 いつも親の手を煩わしていた気もする。 そう思いこむ事にした。そうして問題を先延ばしにしてしまった。 「さあおちびちゃん、ゆっくりたべてね!!」 「はふはふ、むしゃむしゃ、がつがつ……」 「いっぱいたべてゆっくりおおきくなってね!!」 気持ちいいの食べっぷりに両親の頬は緩んだが、しかしそれを豹変させる台詞を赤れいむは吐く。 「まだしあわしぇーできにゃいよ!! もっちょちょうだいにぇ!!」 「「ゆ゛ゆ゛っ!!」」 結局その後普段の五倍の量を食べて赤れいむは渋々満足した。 あれほど食べたのにかかわらず体型が変わらないのが不思議なくらいだ。大食いの赤れいむの横で眠る姉妹はあんなにも丸々しているのに……。 そこには両親は気が付いていない要素があった。この赤れいむのサイズが一回り大きくなっていた事だ。 たった一回の食事で急激な成長をしたことになる。 中身の餡子が増えただけでは表皮が追いつかず破裂しかねないが、この赤れいむはその特異的な柔軟な皮のおかげで形を保っていた。 ようやく眠りについた赤れいむを見つめながら親まりさと親れいむは安堵のため息をつく。 しかしその安堵もその日の晩のご飯の時に打ち砕かれた。 再び大量のご飯を要求する一匹の赤れいむによりあれほど蓄えていた食料も残りわずかになってしまった。 「このちびちゃんはごはんをたべすぎだよ……」 「ゆゆっ……。まりさががんばってごはんをあつめるからだいじょうぶだよ!!」 就寝前に両親が一匹の赤れいむについての話をした。 ご飯を食べ過ぎる本人ももちろん心配だが、明日も明後日もこれから先ずっとこのペースで食べ続けられると家族全員のご飯が無くなってしまう心配があった。 翌朝、親まりさと親れいむが目覚めるといつもの挨拶を交わし合う。 「「ゆっくりしていってね!!」」 「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!」」」 あれ?とまりさとれいむはどちらともなく思った。 そしてもう一度、今度は少し大きめの声で挨拶をする。 「「ゆっくりしていってね!!!!」」 「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!!!」」」 まりさとれいむは巣の中をよくよく見回した。 そこにいるのは赤れいむが三匹だ。たしか自分達の子供はもう少し多かったような気がするのだが。 「おかーしゃんどうしちゃの?」 二度にわたる挨拶に赤れいむの一匹は不思議そうな顔をしている。 もう一匹は未だ眠そうな顔を、そして残りの一匹は朝からとても元気である。 「おなかへっちゃからごはんちょうだいね!!」 「そうだね、ごはんにしようね!!」 「れいむたちはゆっくりまっててね!!」 自分達の子供が一人減っている事に気が付かない親まりさと親れいむ。 ご飯の催促を受けてまりさが単身朝ご飯の調達に向かい、れいむは子供達と歌を歌ったり頬擦りをしながらその帰りを今か今かと待つ事にした。 所変わってここは町の加工場、ゆっくりたちの阿鼻叫喚に包まれるまさにゆっくり地獄と呼べる空間に冒頭に出てきた男が勤めていた。 男が勤務する部署は廃棄物処理の工程に携わっていた。 ゆっくり食品の製造過程においていくつか発生する商品適応外のものを処理することがメインで、その他にも繁殖、飼育中に出てくる残飯、発育不良品、死体等の処理も行うのだ。 この工場ではそういった物を一元化してゆっくりに処理させる工程にある方法を取っていた。 いわゆるゆっくりコンポストである。 コンポスト内には工場稼働中は常にゆっくりの餌となるものが流し込まれていった。 一般家庭や街角に設置してあるコンポストとは比にならないほどの処理効率を求められた内部のゆっくり達は、世代を経るたびにそこで生き残る術を身につけていった。 コンポスト設置当初は何度もゆっくり達は処理しきれない餌にまみれて死んでいき、工場全体の動きを停止せざるを得ない状況に陥らせた。 そこで男達が投入したのが表皮の伸縮性の高いゆっくりだった。 ゆっくりの食欲が完全に満たされるのは自分の体がパンパンになりこれ以上ご飯が食べられなくなったときだ。 つまりその状況までいかなければいくらでも食べ続ける事ができた。 そして通称コンポストゆっくりと呼ばれる大喰いのゆっくりが誕生した。 表皮が厚くさらにとても伸びるコンポストゆっくりはコンポスト内を溢れかえらすこともなく、その無限の食欲で廃棄物処理を行っていった。 このゆっくりは大喰いもそうだがやたらと成長が早いこともその特徴だった。 沢山食べるから早いのか、もっと沢山食べるために早く成長するのかは定かではない。 またコンポストを空にするのが彼らの目的であるためうんうんしーしーもきわめて少ない。 その体皮も手伝って体内の老廃物はすべて溜め込んでいるようだった。 結果コンポスト内では水ぶくれ気味で健康的なゆっくりからすればかなり太った体型となっていた。 男はこのコンポストゆっくりを興味本位で野に放ち、野生での適応は可能かを試してみる実験としてまりさとれいむの子供をすり替えたのだ。 そしてそのコンポストゆっくりの赤れいむはまさに猛威を振るっていた。 朝のうちから狩りに出かけた親まりさが昼ご飯も兼ねてかなりの量のご飯を取ってきていた。 昨日の昼ご飯、晩ご飯のことを考えれば二回の食事はこれくらいあれば食べ盛りの赤れいむも満足するだろう、そう思った結果である。 一般的なまりさからしてもとても優秀なご飯回収量といえる。 しかし、その大量のご飯はあっという間にコンポストれいむの食欲によって消費されることになる。 「むーしゃ、むーしゃ、ふまんぞくー」 「「なんでええええええ!!」」 ゆうに一回の食事量の十倍は超えている、それも成体ゆっくり換算でだ。 見てみるとコンポストれいむの体高はすでに子ゆっくり並の大きさで、球体というより円柱に近い形をしている。姉妹と比べるとその異様さは目立つ。 たった一回の食事でここまで急成長し、さらにデブ体型である。コンポストれいむ恐るべし。 親まりさとれいむは戦慄した。このままでは親の威厳が保てないと感じた。 どこのゆっくりの世界に子供に満足にご飯を与えてやることのできないゆっくりがいるのかと。 子供をゆっくりさせてやれない親はゆっくりできないゆっくりだ。 なんとしてもゆっくりさせてやらねばならないというような変な責任感の元に朝ご飯が終わると両親揃って赤ゆっくりを巣に置いて狩りに出かけてしまった。 しかしここで妙な気合いを出すのは無駄な行為であるとはまりさとれいむは知る由もない。 それはいくらご飯を持ってきてもコンポストれいむに満足という言葉はないからだ。 太陽が空高く昇りきった頃、親まりさとれいむはその帽子と口に入るだけご飯を入れて自分達の巣に帰ってきた。 巣で待っていたのは同い年とは思えないほど体格差のあるれいむの姉妹が二匹待っていた。 「ゆゆゆっ!! れいむはどこにいったの!?」 親れいむは子供が一匹いなくなっていると気が付いた。この狭い巣の中では隠れようもないのでやはりいないのだ。 「しらにゃいよ!! おきたらいにゃかったよ!!」 「ゆっくりはやくごはんちょうだいね!!」 「もしかしておそとにでていっちゃったの!?」 「どおじですでまっでないのおおおお!!」 しかし赤れいむが巣から出た形跡は全くなかった。なぜなら巣に戻ったときに巣の入り口の偽装は破られてはいなかったからだ。 「ゆっくりはやくごはんちょうだいね!!」 「「れいむはすこししずかにしてね!!」」 両親はしつこく催促してくる赤れいむにご飯を与えて黙らせる。 その間に巣の周辺の捜索していなくなった赤れいむの行方を追った。 しかしどうしても発見できなかった。赤れいむの移動速度なぞたかが知れている。 ご飯を探している時間がかなりあったとしてもそれほど遠くまでいけないのだ。 それでも見つからないというのは捕食種に食べられたと考えるのが妥当だった。 「ゆあーん、おちびちゃんがだべられだあああああ」 「れいむしっかりするんだぜ、のこったれいむたちをゆっくりそだてればいいんだぜ」 「ばでぃざ、ごめんね゛ええええええ」 「れいむがあやまることじゃないんだぜ。ゆっくりすにもどるんだぜ」 子供が一匹いなくなったことを後悔するれいむとそれを何とかなだめようとするまりさ。すでにいなくなったのが二匹目であることはわかっていないようだが。 そんな二匹が巣に戻ると今度は驚く事態が発生していた。 「もっとごはんちょうだいね!!」 「「ゆがーん!!」」 あれほど集めたご飯がもうすでに消えていた。朝与えた量の二倍はあったのに。 さらに巣の中にあったなけなしの蓄えもすっかり消えていた。 丸々とした赤れいむとほとんど成体サイズに近い赤れいむの対比も両親を驚かせる。 たった二日ばかりでもうすでに自分達と同じ大きさまで育ってしまった。 しかし心はまだ赤れいむのそれである。 「「しゅーりしゅーり」」 隣にいる普通の赤れいむとはまるで親子のようなご飯後の頬擦りをする。 力加減を誤れば赤れいむが潰されそうな勢いで頬擦りするので両親は内心ハラハラしてそれを見守っていた。 そのうち昼寝の時間なのか二匹は寄り添って寝息を立て始めた。 それを確認するとまりさとれいむは巣を飛び出した。 この時間を見計らって両親は再び大量のご飯を用意しなければならないのだ。 両親が巣から出たあとしばらくするとコンポストれいむは目を覚ました。 その空腹から満足な睡眠をとることはできずたびたび起きてしまうのだ。 そしてその寝ぼけ眼に入ってくるのは美味しそうなご飯だ。 とても丸々として美味しそうなご飯。 その餡子に刻まれた記憶では丸々としたゆっくりはご飯でしかないのだ。 もはやその体格差から小細工など必要ないから姉と呼んでいた赤れいむを豪快に一飲みにしてしまった。 こうしてこのれいむは三匹の姉妹を寝ているときに襲っては食料にしていた。 両親が気が付かぬよう別段に気をつけていたということはないがたまたま見つからなかった、それだけのことである。 しかしそれはどこか自分が生き延びていくために行ったという自然な光景にも見えた。 自分に親が集めてきたご飯を集中させることが目的であるようなそんな光景だ。 とある群れのリーダーであるゆっくりぱちゅりーは最近起こっていたご飯泥棒をついに捕獲することに成功した。 自分達の群れには属さないが群れの近くで住んでいる薄汚いまりさとれいむの番だった。 大量のご飯を盗んでいるはずなのに本人達は痩せ細っているのが不可解だが盗みの現場を目撃した限りやはり犯人なのだろう。 「むきゅー、いままでもっていったごはんをかえしてもらうわ!!」 「ゆっくりりかいしたよ……」 「まりさたちについてくるんだぜ……」 ぱちゅりーが泥棒ゆっくり達にご飯の返還を要求すると二匹はそれにすんなりと応じた。 自分達の非を認める潔さがあるのに盗みを働いたことがなおさらぱちゅりーの理解の範疇を超えていた。 森の中を二匹を先頭に多くのゆっくりがぞろぞろと這っている。 自分達のご飯を返してもらうため二匹の巣に向かっているのだ。 かなりの量が巣に溜め込まれているとみて群れから成体ゆっくりのほとんどが駆り出された。 二匹の巣の前に到着すると不思議な物が目に入ってくる。 巣の前にうずたかく積まれた土の山である。 これだけの量があれば、山を固めてそれをくり抜く事で地上の巣を作る事が出来そうだ。 群れのゆっくりがゆっくりできそうな土の山に見惚れている間に、先頭にいたまりさとれいむは巣の前に着くと中に向かって叫んだ。 「「ゆっくりできるごはんだよ!!」」 「むきゅ、そのなかなのね!! みんなゆっくりとりかえしてね!!」 「「「「ゆゆ~!!」」」」 まりさとれいむの様子から巣の中に持って行かれたご飯があるものとぱちゅりーは判断して、群れのゆっくりに号令を掛けた。 その声に反応のしてゆっくり達が列になってぞろぞろと巣の中に入っていった。 これだけの土を掘り返した巣だ。中はきっととてもゆっくりできる空間になっているだろう。ぱちゅりーは巣の外から中の様子を予想した。 どんどん群れのゆっくりが入っていくがまだその流れは止まりそうにない。 二十はいた大人のゆっくりが巣の中に入っていた。それだけの数が入っても窮屈そうな声が聞こえてこない辺り、中の広さは予想以上なのだろう。 ぱちゅりーは巣の住人と一緒に巣の外で群れのゆっくりが出てくるのを待っていた。 しかしいくら待っても中に入っていったゆっくりが出てくる様子はない。 いくら広いと言ってもご飯の匂いを嗅ぎつけて食物庫に入り、ご飯を口に入れて出てくるくらいならそれほど時間はかからないはずだ。 「おかしいわね。ゆっくりしてないででてきてね!!」 ぱちゅりーは痺れを切らして自らその巣の中へと入っていった。 それほど広くない入り口付近のトンネルをどんどん奧に入っていくと急に柔らかい地面の部屋が現れた。 その空洞は部屋と呼ぶにはそれほど広くなく大人三匹が入れば窮屈になる部屋だ。 不思議なのはその狭さなのに群れのゆっくりはどこにもいないのだ。 「むきゅー、みんなはどこかしら。むぎゃ!!」それがぱちゅりーの最期だった。 突然部屋の天井が下がってきてぱちゅりーを押しつぶした。 すると天井は再び上がり、また下がってくる。そのうちぱちゅりーだったものは部屋の奥へと消えていき、群れのゆっくりと合流した。 いずれも完全に潰された形ではあったが。 「れいむ、あのむれのこどもたちをここにゆっくりつれてきてね。まりさはすをひろげるよ……」 「ゆゆっ、わかったよ……」 肉体的にも精神的にも疲れ切った二匹のゆっくりは一秒の時間も惜しいとばかりにすぐに動き始める。 自分達の子供をゆっくりさせるためだけの親と成り果てたゆっくり達の姿である。 結局自分の子供の異変に疑問を持つのは最後まで無かった。 むしろ自分達の不甲斐なさを呪うほど子供に傾倒してしまった。 自分達がゆっくりであるためには大喰らいの子供をゆっくりさせてやらなければならない。 もし出来なければ自分達はゆっくりできないのだ。 やはりゆっくりという生物はゆっくりできないようにできているようだ。 どこかで子供を見捨てれば別のとてもゆっくりできたゆん生があったのかも知れない。 しかしもしの世界は実現しない限りあり得ない話であったのだ。 そんなゆん生はこの両親にはこれからもなく、忙しなくご飯やときにはゆっくりをかき集める日々が死ぬまで続くのだ。 加工場の男は不幸な二匹が死に絶えるのを見届け、野生に放したサンプルに挨拶をした。もちろん巣の中に向かってお互いの姿は見えないままでだ。 「れいむ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!!」 巣の中からはれいむの重低音が響く声が聞こえてきた。この声はコンポストゆっくりが太りきったときの特徴でもある。 「そんなことよりもごはんちょうだいね!! まだしあわせーできないよ!!」 巣の中からご飯を求める声が聞こえてくる。 きっとこいつも最期までご飯を求め続けた事になるのだろうと思う。 幸せを知らぬまま死ねるのは不幸も知らないという意味で幸せなのかも知れない。 男は持参していたドスパークに用いられるキノコを巣の前に一山置き、中のコンポストれいむに話しかけた。 「巣の前にキノコを置いたから食べるといいよ」 「ゆっくりたべるよ!!」 その瞬間巣の中から大蛇のようなれいむの舌が伸びてきてキノコをかっさらっていった。 その様子を見届けると男はその巣を後にした。 男が森を後にした頃、木々を揺らす地響きと共に巣の中から黒い煙が吹き出した。 あとがき カッコウの托卵っぽいのをテーマに書いてみました。 自分より体の小さな親に育てられるカッコウの写真を思い浮かべて貰えると丁度そんな感じかも。 初期のありすが托卵で増えるという設定は今ならかなり面白そうな気がする。 コンポストれいむの成長と共に移動が困難になり、巣を拡張することで肥大による圧迫を防いだそうです。 巣の中にまりさ達が入るときは親であると叫びながら入っていったそうな。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3899.html
竹取り男とゆっくり 9 *登場人物紹介 男・・・主人公。竹切って売って生活してる人。餡子好き。 甘味屋の店主・・・ゆっくり饅頭を売ってる人。虐待好き。 ゆっくり・・・ヒロイン(笑) 梅の花散る幻想郷で……。 竹取り山の竹取り男は、暖かい陽ざしを浴びて縁側で体を伸ばしていた。 「ゆぅ~ん」 「むきゅ~ん」 その隣では、れいむとぱちゅりーが男のマネをして体を上下に振っている。 「……お前ら饅頭だろ? 体伸ばせるのかよ?」 「ゆ? おにいさんしらないの? れいむはのびるよ!」 「ぱちぇものびるわよ」 ぐにゅ~う… 「きめぇ!」 「ゆゆ!? れいむはきもくないよ! ゆっくりていせいしてね!」 「むきゅ! ぱちぇだってきもくないわ!」 こうしてウチで冬を越したれいむとぱちゅりーは、ワガママを言わない、なかなかいいゆっくりだった。 もとはといえば、この2匹は繁殖させて子供を食べるつもりで買ってきた。 だが…… 両親と瓜ふたつなれいむ種とぱちゅりー種の赤ちゃんが1匹ずつ生まれた朝のこと、2匹の親は生まれたばかりの子供を見せようと、 男の枕もとで男が起きるまで待っていた。 2匹の赤ちゃんは元気に「ゆっくりしていってね!」を言い、2匹の親は幸せそうに笑っていた。 そんな姿を見てしまうと、もはや子供を奪って食べることはできなかった。 2匹の子ゆっくりは、今ではソフトボールサイズにまで育って家の中でゆっくり寝ている。 両親が言うには「とってもゆっくりしたこどもたち」だった。 「むきゅ、おにいさん、おやさいをしゅうかくしてくるわ」 「ゆ! れいむもゆっくりてつだうよ!」 太陽を浴びながら餡子でふっくりしたおしりをウニウニ振っていた2匹は、そう言って縁側から飛びおりた。 『むきゅ、おにいさん、ぱちぇたちに"さいえん"をつくってくれないかしら』 『れいむに"さいえん"をちょうだいね!』 『サイエンって、畑のことだよな? 俺に畑作れってか?』 『むっきゅ、そうよ。れいむとゆっくりそうだんしたの。ぱちぇたち、おにいさんのためにおやさいをつくろうとおもうの』 『おやさいをたべて、いっしょにゆっくりしようね!』 『けっ! 饅頭が野菜づくりたぁ驚きだぜ』 『むきゅう!? ぱちぇをばかにしないでね! ちゃんとごほんでおべんきょうしたのよ!』 『そうだよ! ぱちぇはかしこいよ! おにいさんもしってるでしょ!』 『ちょっとその本持ってこい。 ……なになに、家庭菜園のススメ? 肥料はどうすんだよ。生クリームとか餡子は勘弁な!』 『むっぎゅーん!!』 『ゆっぐりぃ!!』 ……結局、男は2匹のために、家の前に小さな菜園を作ってやった。 その菜園で、ぱちゅりーとれいむは共同して冬の定番お野菜…白菜を作りはじめた。 自分たちを養ってくれる男に恩返しをしたかったのだ。 あれから約2ヵ月。 2匹は子供の面倒をみながら一日に何度も菜園を見回って、今ではこうして収穫の時期を迎えている。 ぱちゅりーとれいむ、そして子ぱちぇと子れいむの4匹は、おおきく育った収穫済みの白菜のそばで最高の笑顔を見せていた。 その日のお昼、オレンジジュースを入れた水筒を用意すると、男は4匹をつまんで荷車に乗せてピクニックに出かけた。 飲み物だけ持っていって、食べ物は現地で手に入れるつもりだった。 「むっきゅむっきゅ! おにいさん、ぱちぇたちをどこにつれていくの?」 「今日はタケノコをご馳走してやろうと思ってさ」 「むっきゅ? たけのこってなにかしら?」 「ばっかお前、普段から物知り博士みたいなツラしてるくせにタケノコも知らねえの?」 「むぎゅ!? たっ、たけのこぐらいしってるわ!」 「じゃあどんなヤツか説明してみろよ」 「むぎゅうんっ!? む…むぎゅむぎゅ……もちろん……たけのこはたけのこよ」 「うわっ、ばっかだな~」 「むぎぃ!」 道中そんなやり取りをしながら深い山奥まで入ると、男は歩みを止めてあたりを踏みはじめた。 「…………あった」 タケノコを知らない4匹が固唾を飲んで見守っていると、掘り出されたものは茶色くて先のとがったツノのようなものだった。 男は幾重にも巻かれたツノの皮を剥がしてしまうと、中の真っ白な身を小刀で切って、ぱちゅりーの前にさし出した。 「たべてみな」 「むきゅ? はむ! むきゅむきゅむきゅ、こきゅん! ………………むっきゃー!!」 ぱちゅりーが恍惚とした顔で飛びあがった。 「でっ、でいぶもたべるよっ!」 ぱちゅりーを見て、涎を撒き散らしながらタケノコに突撃するれいむ。 そして大口を開けてかぶりつこうとした瞬間、男がヒョイとそれを取り上げた。 「ゆゆうっ!? れいむのたけのこさんをとらないでね!!」 「子供の前でみっともないぞ。ちゃんと切り分けてやるからそこで待ってろ」 「ゆゆっ、ゆっくりまってるよ! あんぐり!」 れいむは体をのけ反らせて、関節もへったくれもないその大口をガバッと開けて催促してくる。 「でっかい口だな…」 「おにいさん、ゆっくりしないではやくちょうだいね! あんぐり!」 「うぜぇ! おいチビども、お前らから先に食っていいぞ」 「ゆー♪」 「むきゅ~♪」 「どぼじでぞんなごどっ…!? ゆ、ゆぅ…かわいいおちびちゃんのためなられいむはがまんするよ。ゆっくりがまんだよ…ゆっくりがまんだよ…」 これは子供のためなんだと自分に言い聞かせ、れいむは涎をダバダバ流しながら必死に自制していた。 男は小さく切ったタケノコを、お行儀よく待っていた子れいむと子ぱちぇに投げてやった。 見事にジャンピングキャッチした2匹は、ほっぺたをふくらませてムシャムシャ食べた。 「ゆっ! おにいざん! つぎはでいぶのばんだよ! でいぶはゆっぐりまっでだよ! はやくでいぶにもぢょうだいね!!」 「わかったわかった。ほら、口開けろ」 「あんぐり!!」 「うぜえ!!」 ドボッ!! 「ゆぼお゙っ!?」 直径15センチ・長さ25センチの巨大なタケノコが、口を開けて待っていたれいむの喉に叩きこまれた! れいむは喉の奥の餡子に突き刺さったタケノコを必死に噛みきろうとするが、飴細工でできた歯では文字どおり歯がたたない。 抜こうにも手足がないので抜けない。 「ゆ゙ーっ!? ゆ゙ーっ!?」 饅頭ができることなど多くはないが、万策つきたれいむは泣き声をふり絞って、すがるような目で男を見上げた。 男は目をそらした。 「お゙お゙い゙え゙あ゙ゔえ゙え゙ゔえ゙あ゙い゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!??」(どぼじでだずげでぐれないのおおおお!!!??) 「むっきゅ! おにいさんやりすぎよ!」 「はいはいわかったよ。ほられいむ、抜くぞ? よっ!」 ゆぽん! タケノコの先端にはれいむの餡子と涎がこびりついて、かなり汚かった。 泣きべそれいむはまだそれを目で追っている。 餡子汁でマーキングされたことだし、その執念にも免じて全部れいむにやろう。 「よし、取ってこい!」 犬に骨を持ってこさせる要領でタケノコを投げると、れいむは一目散に飛びはねていった。 …もちろん、犬のように持って帰ってくることはなかった。 「もうひとつ掘るか。 …………ここかな?」 男は先ほどと同様に地面をポンポン踏んでいたかと思うと、鍬をもって掘りはじめる。 狙いたがわず、またも大きなタケノコが姿を見せた。 「むきゅん! すごいわ! どうしてわかるのかしら?」 「経験だな」 ぱちゅりーは感心したように男を見つめていた。 「おにいさん、こんどはれいむたちがたけのこさんをつかまえるよ!」 「やめとけよ」 「「「「ゆがーん!!」」」」 自分たちでタケノコを掘る気まんまんだった一家は、一斉に絶望の表情になった。 「あのな、3ヵ月も俺と一緒に暮らしてて忘れたのかもしれないが、お前らはただのゆっくりだぞ? 饅頭だぞ? 餡子脳なんだぞ?」 「ゆぐっ、ゆっくりをばかにしないでね! れいむにだって"ほこり"はあるよ!?」 「れいむのいうとおりだわ! ぱちぇたちはちゃんと"ぷらいど"をもってじんせいをかっぽしてるのよ!?」 「あっそ。たしかに土埃まみれだな。じゃ、好きにやってみな」 「ゆゆっ! おにいさんはあとでゆっくりこうかいしてね!」 「たけのこさんをみつけたって、おにいさんにはあげないわ!」 生意気な顔で宣言したれいむとぱちゅりー。 それから4匹は男の真似をして地面をポンポン踏んでいたが、そもそもその行動の意味がわかっていないので見つかるはずもない。 30分も意味もなく地面を踏んでいたれいむとぱちゅりーがそろそろ泣き言をはじめたとき、遠くにいた子ぱちぇと子れいむが声をあげた。 子供のもとに集まると、土から10センチほど顔を出したタケノコがあった。 「ゆっゆっ! たけのこさんだよー!」 「むっきゃっきゃ! さすがはぱちぇのこどもたちだわ!」 「あぁ~そいつは……いや、なんでもない」 男は注意しようとしたが、なにごとも経験だと思いなおして口をつぐんだ。 「れいむがほるからゆっくりまっててね! がぼ! ゆぺっ! がぼ! ゆぺっ!」 「むきゅむきゅ! がんばるのよれいむ!」 家族に応援されたれいむは、今までで一番大きくて立派なタケノコを掘り出した。 「むっきゃー! ふとくておおきくて、とってもりっぱよ!」 ぱちゅりーが意味深なことを叫んでいるのをよそに、子供たちは協力して茶色い皮を剥ぎはじめた。 「ゆっゆー♪ おにいさん! とってもゆっくりしたたけのこさんでしょ! ゆっくりこうかいしてね!」 「むきゅ! やくそくどおり、おにいさんにはあげなくていいわよね!?」 勝ち誇った顔で勝利宣言する2匹。 「いらねーよ。ま、切ってやるからためしに食ってみな」 「「「「ゆっくりいただきます!!」」」」 4匹は小さく切り分けられたタケノコにがっついた。 「「「「むーしゃむーしゃ! しあわ…」」」」 さっき食べたタケノコの味を期待していた4匹は、笑顔のまま凍りついたかと思うと、 「むぎゃんっ!?」 「ゆげえ!?」 「むぴょお!?」 「ゆぴぃっ!?」 一斉にひっくり返った。 毎日お外を駆け回っている運動神経抜群のれいむは、勢いあまって3回転もバク宙をキメながらひっくり返った。 「む…むぎゅぎゅぎゅ…ぶぎょおっ……ぐぽぇっ……げべっ……え゙れ゙れ゙れ゙れ゙れ゙えれえれえれえれ……!」 「ゆげろげろげろげろぉ!」 ぱちゅりーとれいむはタケノコと一緒に自分の中身を吐き出した。 「むきゅっ……むきゅっ……」 「ゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っ」 子ぱちぇと子れいむは舌をピンと伸ばして泡を噴いて痙攣している。 とりあえず、男はぱちゅりーの背中を優しく叩いてやった。 「お~い、いきてるか?」 「むぎゃっ!? おにいざっ、だだがないで!! ……ぶえろろろろおおろろろろおおおろおおろおおおおおろろろろろぉっ!!」 「げっ、ナマあったかいクリームが!」 「ばぢぇぇぇ…あんこさんはいたらゆっぐりでぎなぐなっぢゃうぅぅぅ…」 「そりゃマズいな。ぱちゅりー、ちょっと我慢しろよ?」 「むぎ!? ぽえぇっ!!!」 男は地ベタの生クリームをすくってぱちゅりーの口に流しこむと、これ以上吐かないように手でフタをした。 男にとってはただの生クリームでも、ぱちゅりーからすれば嘔吐物。 一度リバースしたものをふたたび体内に戻される気持ち悪さに、ぱちゅりーは目を白黒させて悶えていた。 ゆっくりは中身の量さえ足りていれば死ぬことはない。 れいむもなんとか無事な様子。 あとは痙攣している2匹の子供だけだ。 男は子れいむの丸いおなかを片手で挟むと、ポンプのようにギュッと握った。 「ゆぽっ!?」 すぼんだ口から小さなタケノコが飛び出し、子れいむはハッと意識を取りもどした。 子ぱちぇも同様に握ってやると、かたまりを吐き飛ばして目覚めた。 だいぶ弱っているので水筒のオレンジジュースを飲ませてやると、4匹はすぐに元気を取りもどした。 …単純構造なやつらだ。 「むぎゅ……おにいさん、これどくがはいってたわ……」 「毒ねえ…甘党のお前らには毒かもな。お前らが掘り出したのは、渋すぎて生じゃ食えないタケノコだ」 「むぎゅ? どういうことなの…?」 男は齧りかけのタケノコを持って先端を指した。 「ここが緑色になってるのは生じゃ食えないんだ。地面から顔を出してるのもダメ。生で食いたいなら土に埋まってるやつな」 「むきゅう…うまってるたけのこさんをどうやってさがすの?」 「だから、経験だよ」 「むっきゅうぅぅぅ……」 「こうやって土を踏んでるとな、ふかふかの土の中に、なにか固いものがあるのが分かる。たとえば………………ここだ」 男はその1ヶ所を探しあてた。 「れいむ、足元に集中してちょっと跳ねてみろ」 「ゆっくりりかいしたよ!」 れいむは男が指した地面の上でボヨンボヨンと跳ねてみた。 「ゆっゆっゆっ! ……ゆぅ、わからないよ」 「こんの鈍感饅頭がっ!」 「どぼじでそんなごどいうのおおお!!?」 「ぱちゅりー、お前はどうだ。なにか感じるか?」 「むきゅん、やってみるわ!」 ぱちゅりーはれいむと同様に土の上でポヨンポヨンと跳ねてみた。 「む…むっきゅ…かんじるわ…こうしてはねていると…むっきゅりしたなにかが…したから…ぱちぇのからだを…」 「そりゃ小石だ!」 ドゴッ! 「むぎゃはぁぁぁ!!」 それ以上言わせないとばかりに、男はぱちゅりーを蹴っ飛ばしてあげた。 「とまぁ、そういうわけだ。さてと、鈍感饅頭にムッツリ生クリーム。そろそろ帰るぞ」 「ゆわぁん!! れいむはどんかんまんじゅうじゃないよぉ!!」 「ぱちぇだってむっつりじゃないわよ! むぎゅーーっ!」 泣いて怒ったれいむとぱちゅりーを引っつかんで荷車に乗せると、遠くでウロウロしていた子れいむと子ぱちぇが声をあげた。 「むきゅ、おにーさん、ここになにかあるわぁ!」 「ゆっゆっ! たけのこさんかな!?」 2匹が跳びはねている地面を確かめてみると、なんとタケノコの手ごたえがする。 まさかと思って掘ってみると、立派なタケノコが出てきた。 「むっきゃっきゃっ!!」 「ゆっくりー!」 2匹の子ゆっくりは自慢げな表情で飛び跳ねていたかと思うと、再びあたりをポインポイ~ンと飛びはねる。 「むきゅ! ここにもなにかあるわぁ!」 「ゆゆ! れーむもみつけたよ!」 掘ってみると、いずれもタケノコが出てきた。 「すげぇな、俺でさえ最初は時間かかったのに……」 おそらく、体も小さく皮も薄い子ゆっくりは、地中の感触を敏感にとらえられるのだろう。 一刻も過ぎるころには、荷車にはたくさんのタケノコが積まれていた。 「暗くなってきたからもう帰ろうな。チビども、今日はお手柄だったぞ」 「「ゆっへん!」」 男はタケノコを積んだ上に2匹の子ゆっくり、そして子供を褒めたたえている2匹の親ゆっくりを乗せて、家路を急いだ。 いつもはれいむたちが育てた白菜づくしの食卓が、今晩はタケノコづくしだった。 子れいむと子ぱちぇは、タケノコご飯を猛烈な勢いでかきこんだ。 親ぱちゅりーと親れいむは、タケノコの甘露煮を一口食べて「しあわせ~!」と叫んだ。 4匹はそろって、白菜を男にすすめた。 「俺にもタケノコよこせ!」 …毎日、笑顔が絶えなかった。 そんな笑顔を見ているうちに、男はなんとなくゆっくりたちの言う"ゆっくり"の意味がわかったような気がした。 "ゆっくり"を言葉で理解するのは難しい。 しかしそれは、男のそばにも当たり前にあるのかもしれなかった…。 * * * 「「「「ゆっくりいってきます!」」」」 翌朝、れいむ一家は水筒をぶらさげて家を出た。 すっかり自信をつけた子ゆっくりたちがタケノコを掘りに行きたいとせがんだのだ。 男のほうは、あいにく用事があった。 「暗くなる前に帰って来いよな」 4匹が和気藹々と竹林に消えるのを見とどけると、男は荷車に『ありす』と書かれた麻袋を積んで、山を下りていった。 昨日と同様、子ゆっくりたちは面白いようにタケノコを探しあてた。 子供が探し親が掘る、という役割分担ができるのに、そう時間はかからなかった。 一家のまわりにはたくさんのタケノコが散乱した。 「「「「しっ…しあわせぇ!!」」」」 ヘブン状態の4匹は心ゆくまでタケノコを堪能すると、おなかをパンパンにふくらませて仰向けに寝っころがっていた。 森の中に、ぷっくりとふくらんだ饅頭が4つも転がっている様子は、たいそう滑稽だった。 「ゆぅ…たけのこさんほりすぎちゃったね。どうしよう…」 「むきゅ、あなのなかにかくしておいて、こんどおにいさんにはこんでもらいましょう!」 「ゆゆ! めいあんだね!」 一家は大きな穴を掘ると、その中にタケノコを放りこんで土をかけた。 そうしてニッコリ微笑むと、持てるぶんだけ咥えてポインポイ~ンと帰っていった。 ……幸福なぱちゅりーたちは、とうとう気づかなかった。 ……物影からジッと様子をうかがっていた、たくさんの目に。 一家がいなくなると、それらは姿を現した。 浅黒い肌のすさんだ目をしたゆっくりぱちゅりー。 それに十数匹のゆっくりまりさだった。 「おうのよ」 「おうちをみつけたら、どうするのぜ?」 「こどもはつれてきなさい。たけのこをみつけるぎじゅつを、でんじゅしてもらうわ」 「おやはどうするのぜ?」 「えいえんにゆっくりさせるのよ」 「「ゆっくりりかいしたぜ!」」 ガングロぱちゅりーに命じられた2匹のまりさは、竹林に消えていった。 「むきゅ! のこりのまりさは、どすのためにたけのこをほりだすのよ」 「「「「「ゆっくりりかいしたぜ!!」」」」」 * * * 街はいつになく騒がしかった。 往来は人ゴミであふれ、どこもかしこも喧騒に満ちている。 なにかあったのだろうとは思ったが、男はさして注意も払わずに目的地へと向かった。 「おや…? お客さま、おひさしぶりですな」 ちょうど店先に出ていた甘味屋の店主が、男に気づいてニッコリ笑った。 「今日はこいつを売りに来たんだ」 男が荷台の麻袋を開けると、中に入っていたのは、冬の間に駆除した大量のゆっくりありすだった。 「これはまたずいぶんと…」 「ぜんぶ半殺しにしてある。それなりに甘くなってるはずだ」 店主は手近な瀕死のありすの下膨れたほっぺを擦った。 「むほっ」 スベスベの下あごに、ピンッと現れたぺにぺに。 店主はそのぺにぺにを指先でちぎった。 …別に変な趣味があるわけではない。加工用ゆっくりを品評をするには、この部分の特濃カスタードを味見するのが手っ取り早いのだ。 ぺにぺにをちぎられたありすは「やべでえ…」とか涙目で呻いているが、店主は無視してカスタードをギュウギュウしぼり出して味見する。 「いくらになる?」 「ひとまず、中へどうぞ」 「ぺにぺにが…ありずのぺにぺにが…とかいはのぺにぺにが…ぺに…ぺに…ぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺにぺに」 アイデンティティーのひとつを喪失したありすは、袋の中で発狂していた。 奥座敷に落ちつくと、若い店員がお茶と3個のゆっくり饅頭を出していった。 ゆっくり饅頭はすべてれいむ種の赤ちゃん。 …やり手の店主のことだ。 男が最初に食べて感動した商品がこの赤れいむだったことを、しっかりと記憶しているのだろう。 「「「ゆっくちちていっちぇにぇ!」」」 男は1匹つまんだ。 「ゆ~♪ ゆ~♪ れーみゅおしょらをとんでりゅみちゃい~♪」 赤れいむは指のあいだでウニウニと体を振って、キャッキャッとはしゃいでいる。 「いっしょうれーみゅとあしょんでにぇ!」 キラキラ輝く目。 薄皮につつまれた、瑞々しい餡子の感触。 甘いにおい。 そんな赤れいむを口に入れてすり潰すと、「ゆぴっ」という可愛らしい断末魔とともに初々しい餡子がはじけて、なんとも言えない風味が広がる。 「筆舌に尽くしがたいぜ…!」 野生のゆっくりとは違う洗練された味……この店のゆっくり饅頭はやはり格別だった。 「ゆんやぁ~っ!?」 「どぽちてしょんなことしゅりゅのぉ!?」 てっきり、遊んでくれる優しいお兄さんだと思っていた赤れいむ。 姉妹を食べられた恐怖でぷるぷる~っと震えていた2匹目、3匹目を口に入れると、中の餡子はますます美味しくなっていた。 「なつかしいな。この店で、ちょうどこれと同じ赤れいむをもらって、俺はゆっくり饅頭にハマったんだっけな」 「あのときのお客さまは、まだゆっくり饅頭をご存知ありませんでしたね」 「それが今じゃあ飼い主だ」 「れいむとぱちゅりーは繁殖できていますか?」 「2匹、子供を産んだけどな…」 そう言ってお茶をすすりながら窓の外を見る男。 …まさか情が移ってしまったとは言えなかった。 「それより、なんだか街が騒がしいな。なにかあったのか?」 「お気づきになられましたか。じつは…」 店主の話は驚くべきものだった。 一昨日、ここから5里も離れた隣の里にゆっくりの大群が押しよせ、里が壊滅したというのだ。 それだけではない。以前にも同様の襲撃を受けて崩壊した里がいくつかあるらしい。 その大群の中心にいたのは、人間の家以上もある巨大なゆっくり…ドスまりさだったという。 街に逃げこんできた里の住人の中には『次のターゲットはこの街だ』と叫ぶ者もおり、とにかく情報が錯綜していた。 「たかが饅頭相手に里が壊滅…?」 家で飼っている貧弱なれいむ一家を思い浮かべた男に、そろばんを弾いていた店主が小さな紙きれを見せてきた。 「どうです?」 「いい値だな。いいのか?」 「お得意さまですからな」 金をもらって男が立ちあがったところ、さきほど饅頭を運んできた若い店員があわただしく駆けこんできた。 男は二人を残して店を出た。そして荷車を引いて帰ろうとした時だった。 「お客さま」 追ってきた店主が男の腕を止めた。 「たしか、竹取り山にお住まいでしたね?」 5分後、男は甘味屋に荷車をうち捨てたまま、飛ぶように走っていた。 若い店員が持ってきた最新の情報。 それは、この街へ向かっていたドスまりさの大群が急に進路を変えたというものだった。 ……口々に「たけのこ」と叫びながら。 男は竹取り山へ向かった。 つづく ~あとがき~ 読んでくれてありがとう! 感想までくれる人もホントにありがとう! このシリーズももうすぐ終わりです。 遅筆ですけど、ゆっくり待っててくださいね! (*´ω`)ノシ ~書いたもの~ 竹取り男とゆっくり1~9(執筆中) 暇なお姉さんとゆっくり せつゆんとぺにこぷたー 悲劇がとまらない! あるゆっくり一家のひな祭り
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3374.html
書きたかった事 本スレ90の 316さんの書き込み 『「おまんじゅうさん」とか呼び続けたら物言わぬ饅頭になるかも知れん』 からインスパイアされて 言葉責めとかやってみたかった 作者 チェンマガツ その男には日頃から疑問に思う事があった。 最近現れたゆっくりと呼ばれる奇妙な不思議生物は本当に生物と呼んでいいのだろうか。 詰まるところあいつらは饅頭なわけで、饅頭を生物とするのは明らかに間違っていると思っていたのだ。 誰かに聞いても答えられるはずのない疑問であることは承知しているのでそこはやはり本人達に聞いてみるのが早いのだろう。 そう思い立ち男は早速行動に起こした。 人間の集落の周りにある森に出かければすぐにでもゆっくりは見つかった。 日の当たる広場に二匹の成体ゆっくりが寄り添って仲良く昼寝をしていた。 ゆっくりまりさとゆっくりれいむだ。どうやらカップルらしい二匹を起こすように男は挨拶をする。 「ゆっくりしていってね」 「「ゆっくりしていってね!!」」 さっきまで寝ていたのに脊髄反射のように挨拶を返してきた。 「ゆゆっ、ゆっくりねていたのにおこさないでね」 「ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだからゆっくりでていってね!!」 「少し君たちに聞きたい事があるんだけどいいかな?」 ふくれていたれいむに出て行けと怒鳴るまりさを完全に無視して男は質問する。 「君たちは何だい?」 「ゆゆっ、れいむはれいむだよ」 「まりさはまりさだよ」 「いや、そう言う事ではないんだよ」 やはりかと男は思った。ゆっくりと初めからまともな会話ができるわけはないのだ。 「お兄さんは人間だ。なら君たちは何だ?」 「れいむはれいむだよ!!」 「まりさはまりさだよ!! なんかいもいわさないでね!!」 あまりの会話の成りたたなさに男は頭を抱える。 どうしてもこいつらから質問に対する答えを聞きたいのだが、どうやら誘導質問をせざるをえないようだ。 「そしたられいむ。れいむはゆっくりだよね?」 「うん、れいむはゆっくりしているよ」 「そうじゃないんだ……、もういい。まりさ、君はゆっくりだな」 「ゆゆぅ、そうだよ!! まりさはゆっくりだよ」どうやらまりさは男の質問の意味が分かったようだ。 「まりさは賢くて助かる」 「それにまりさはかりもじょうずでかっこいいんだよ!!」 「ゆっへん」まりさはお腹を突き出して偉そうな表情をした。 男がしまったと思ってももう遅い。 誉めるとすぐこうなるのだから言葉を選んで会話をせねばならないと思い直す。 「それじゃあまりさ、お兄さんは人間だ。人間は動物だ。わかるな?」 「ゆっくりりかいしたよ!!」 「それなら、まりさはゆっくりだ。するとゆっくりはなんだ?」 これでようやく疑問が解決すると男は思った。しかしそううまくいくわけがない。 「おにいさんしらないの? ゆっくりはゆっくりだよ!! ゆっくりりかいしてね」 「……」 男は改めてこう思うのだ、やはりまともな会話ができるわけはないのだと。 それなら仕方ないと誘導質問に切り替える。 「お兄さんから見ればゆっくりは饅頭に見えるんだが?」 男の質問は実に簡単なものだ。結局のところお前らは饅頭だろということだ。 しばし時間が止まったように二匹のゆっくりが固まった。 男の言葉をゆっくりと頭の中で反芻し、ゆっくりとその言葉の真意を読み取った。 そして突然二匹は怒り出した。 「どおじでぞんなごどいうの!! れいむはおまんじゅうじゃないよ!!」 「まりさはまりさだよ!! おまんじゅうさんはあまあまでしょおおお!? そんなこともわからないの? ばかなの? しぬの?」 二匹は大激怒である。二匹は目をつり上げ、涎を飛ばしてきながら今にも襲いかからんとばかりに跳ねながら叫んできた。 まりさの言葉にカチンとくる部分があったがそれくらいで潰してしまうほど男の沸点は低くない。 「だってどう見てもそうじゃないか……。いや、まてよ……」 ふと男は面白そうな事が思い浮かんだ。 自分達が何であるかを分からせる必要がありそうだ。 「お前達うちに来てくれないか。うちにくれば饅頭を食わしてやる」 「ゆゆっ!! おまんじゅうちょうだい!!」 「ほんとうにくれるんだぜ!?」 「ああ、食わしてやるから。ちょっとの間付き合ってくれよ」 「れいむをゆっくりつれていってね!! それでおまんじゅうちょうだいね!!」 「まりさもいくんだぜ!!」 「そしたら早速行こう。気が変わらないうちにな」 男が家でちょっとした実験をするために二匹を連れて帰る事にした。 両脇に二匹を抱えてやると随分ご満悦そうにゆっくりしだした。 普段見慣れない風景とか地面から解き離れた感覚とかそういった部分にゆっくりは惹かれるのだろうか。 男は二匹を連れて家に帰ってきたのはいいものの、実験の準備はまったくしていない。 この実験には腕の立つ菓子職人が必要だったがそれには思い当たる節があった。 自身がゆっくりをとてもよく観察して、人間に友好的なドスまりさを作り上げたと評判になっている和菓子屋の店主だ。 ひとまず二匹をあまり物を置いてない寝室に招待し、適当なご飯を置いてその主人の元へと出かける事にした。 「ふむ、その実験は実に興味深いな」 「そこで実験に必要なものを旦那に作って欲しいんですよ」 「そういうことなら喜んで協力しましょう。なんなら場所も提供しますがどうですか? 家の奧にあるゆっくり用の部屋が空いてるんでそこを使っていいよ」 「いいんですか。家ではそんな部屋が無いんで願ったり叶ったりです。喜んで使わせてもらいますよ」 「ついでに私も観察させてもらうけど問題はないよな」 「ええどうぞどうぞ。それじゃあ約束のものはいつできますか? 出来上がればすぐにでも実験を始めますけど」 「実験結果が面白そうだから今から作り始めて明日の午後までには作っておくようにするよ」 「それは有難い。そしたら明日の晩にまた尋ねることにしますね」 「そしたら明日の晩にお待ちしてます」 この実験に使われる物の費用に関してはそれほどかからない上、商品開発のヒントに繋がったと喜んでタダにして貰えたのも助かった。 明日になればゆっくりが何であるかの答えが出るやもわからない。 そして次の日。男はもう二度とゆっくりは飼うまいと心に刻んでいた。 わずか一日を一緒に過ごしただけだがあれほどにまで騒がしい生物とは思わなかった。 もちろん野良のゆっくりだというのもそうなのだろうが、いちいち大声で叫ばれたのではかなわないのだ。 どうせ耳がないから互いに大声でないと聞こえないとかそんなことなんだろう。 体罰を与えて機嫌を損なわせて実験に支障がでても困ると思ったが、 よく考えればそのときは別のゆっくりを捕まえてくればいいだけだった気付き愕然とした。 約束の時間通りに男は二匹を連れて和菓子屋に到着した。 「ゆゆっ、おいしそうなにおい!!」 「あまあまのにおいだぜ!!」 二匹は店内に充満した美味しそうなお菓子の匂いに反応していたが、今日はあとでたらふく食わせてやると伝えてあるのでねだってくる事はなかった。 「二匹を連れてきました。例のものはできてますか?」 「ああ、完成してるよ。それと少し色をつけといたからきっと実験結果がもっと面白くなるよ。それじゃあ部屋に案内するよ」 「それは楽しみだ。それじゃあお前らもいこうか」 「あまあまたのしみだね!!」 「はやくちょうだいね!!」 「ああ、協力してくれたらいくらでもくわしてやるよ」 そう言って二人と二匹は和菓子屋の横に併設された家の奧に設けられたゆっくり用の部屋へと入っていった。 床が掘り下げられたその部屋の中にはいくつか台が用意されていた。 「手前の台の上に二匹を置くと良い。その高さからなら飛んで逃げやしないだろう」 「わかりました」 指示された台は男の腹の位置くらいまである台で、ゆっくり二匹が並んで乗るとそれ以上身動きは取れそうにない台座であった。 「ゆっ、ちょっとたかいね……」 「おにいさんゆっくりおろしてね」 「今降りると饅頭を食わせるわけにはいかないんだが?」 「ゆ゛ゆ゛っ!!」 「ゆっくりがまんするね!!」 「是非そうしてくれ」 測られたようにゆっくりが飛び降りようとしない高さであるようだ。さすがゆっくりをよく観察しているだけのことはある。 そして別の台にはいくつか皿が乗せてあり、皿に載せたものが分からないよう布で覆ってある。 皿の枚数は六枚ある。それぞれに要望通りの物が収まっているのだろう。 「ちなみに左の皿から順番通りに並べてあるから。あとそれと……」 店主はゆっくりに聞こえぬよう男に耳打ちをしてきた。 その内容を聞き男は笑顔のままで身震いする。男が思いもしてなかった内容にさすがとしか言いようがない。 「確かに面白くなりそうですね」 「だろ? あとは好きなようにやってくれ」 そう言うと店主は男とゆっくりを置いて部屋を出て行った。 話によると隣の部屋から実験の様子を観察するらしい。 男はゆっくりに振り返ると不安そうな表情をするゆっくり達が見返してきた。 「さて、それじゃあ昨日の質問の続きをしようか」 男は六枚の皿が置かれた台を挟んでゆっくり達と対峙した。 この位置に立てば右から順に皿の上の物をゆっくり達に見せていけばいいということらしい。 そっと自分だけが見えるように布をめくるとそこには一般的な大きさの饅頭が二個鎮座していた。 「では、もう一度聞こうか。お前達は饅頭ではないのか?」 「ぷくぅぅぅ。ちがうよ!!」 「おにいさんまりさおこるよ!!」 「はいはい分かった分かった。じゃあこれを見てくれ」 そう言いながら男は最初の皿の中身を見せた。そこにあるのもを見てれいむとまりさは色めき立つ。 「おまんじゅうさん!!」 「まりさにはやくちょうだいね!!」 「そうかこれは饅頭だよな」 男は並べられた二つの饅頭を皿ごと二匹の目の前まで持ってきて見せた。 「二つとも饅頭だな」 「そうだよ!! はやくれいむにちょうだい!!」 「二つとも饅頭なら問題ない」 男は持っていた皿を台に戻して次の皿の布をめくる。 ゆっくり達は饅頭を食べたいとうるさく叫んでやまない。 「静かにしてないと饅頭はやらないぞ」その一言でゆっくりはあっさり静かになった。 次の皿の上にはゆっくり側から見れば先程のもの変わらないものが乗っていた。 「またおまんじゅうさん!!」 「静かにしてろ。これならどうだ?」 そういって皿の上の物を二つとも180度回転させる。 するとそこには饅頭にあるものがくっついていた。 実に良くできているその代物はどうやら寒天か何かで作られているようで近くで見ても本物となんら損傷はない。 「ゆゆっ、さっきよりおいしそうなおまんじゅうだぜ」 「そうか、やはりお饅頭か」 男が聞く前にまりさが答えたが二つめの皿に乗せられたものも饅頭であると答えた。 しかし先程のまっさらな饅頭とは異なる点がそこにはある。ゆっくりの目玉のようなものがくっついているのだ。 プルプルと震えるその眼球は饅頭に加えられたアクセントくらいにしか思わないらしい。ケーキに乗せられた苺くらいの感覚なのだろう。 「それなら次の皿はどうだ」 ここまでの反応は概ね予想していた通りだ。三皿目の反応もそう変わらないだろうが見せてみることにする。 布を外せばそこには饅頭にゆっくりの閉じた口のような皺が入っている。 これもやはり本物と変わらない出来だ。店主の観察眼と造形技術に舌を巻くしかない。 「おにいさんはやくれいむにちょうだい!!」 「これは饅頭か?」 「「そうだよ!! おまんじゅうだよ!!」」 さて問題はここからである。この先からのゆっくり達の反応が重要となってくる。 男がおもむろに四皿目の布を外すとそこにあった饅頭は二種類の構図が見て取れた。 一方は歯を食いしばり固まっているもの、もう一方が口を開けて固まっている物だった。 口を開いた方をよく見れば歯はどうやら飴細工らしい。本物と比べれば少し透明感と艶が目立つがそれでもよく見ないと分からないほどだ。 どちらにも眼がついており、もはや禿ゆっくりの標本のようだ。 「れいむ、これは何だ?」 「おまんじゅうだよ!!」 「そうか。まりさはどう思う」 「ゆゆぅ……」まりさは返答に困った様子を見せた。 「どうしたまりさ。これは何だい?」 「さっきよりもおいしそうなおまんじゅうだよ!!」 「そうか、わかった」 ここにきてようやく二匹に違いが現れた。まりさの方が違和感を覚え始めたようだった。 たしかに目の前にあるものは饅頭だが、何かおかしいと思っているのだろうか。 少し表情が曇ったまりさを余所に男は淡々と次の皿に向かう。 五皿目の布を外すとそこにはもはやゆっくりと呼べそうなものが並んでいた。 れいむ種を元に造形されたそれは子ゆっくりサイズで、目は開かれ口は笑顔のゆっくりした表情の饅頭に、これもまた飴細工であろう髪の毛が被せられている。 隣り合う二つの饅頭に差は見て取れない。両方とも本物と違う点はれいむ種の紅白飾りが無く動かないという点だ。 「れいむ、これも饅頭か?」 ここでさすがのれいむも返答が止まった。 「これは……、おまんじゅう? ゆっくりできてないれいむ?」 「さっきの饅頭と比べるとどうだ」 「ゆゆっ!! このおまんじゅうはれいむのまねをしてるだけだよ!!」 「ということはこれも饅頭だな」 「そうだよ。ゆっへん」 れいむは見事に饅頭である事を看破してやったと言わんばかりに威張る。 「ではまりさ、これは何だと思う?」 「まりさもおまんじゅうだとおもうよ!!」 「そうかならこうするとどうだ」 男は饅頭を一つ持ち上げるとゆっくりの声真似をした。 「ゆっくりしていってね!!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 「これは饅頭か?」 二匹は挨拶を返したままの表情で固まってしまっている。 「どうした? これは饅頭じゃないのか?」 「れいむはゆっくりびっくりしたよ」 「……」まりさは黙り込んでしまった。 「饅頭が喋るだけでまるでゆっくりみたいだよな?」 「ゆゆゆゆっ!!」 「おまんじゅうといっしょにしないでね!! ゆっくりあやまってね!!」 「そうか? お前達もさっき普通に挨拶返しただろ。ならこうしてみるか」 男は手に持ったままの饅頭を真上に放り投げた。ゆっくり達の視線は自然とそちらに向かう。 「やめてね!! ゆっくりおろしてね!!」男の声真似だが二匹は完全に饅頭から発せられたものと誤解した。 「どぼじでなげたの゛おおおお」 「ゆっくりやめてね!!」 「何言ってるんだ。饅頭だよ饅頭」手に戻ってきた饅頭を二匹に見せて男は笑う。 「やっぱり饅頭はゆっくりなのか?」 男の問いに二匹は答えなくなってしまった。二匹のなかで何かが変わろうとしているようだ。 これは最後の皿でどうなることやら、男はそっと残されていた皿に手を伸ばして布をはずす。 その皿を見てれいむとまりさは凍り付いた。 最初から見せてもおそらくこの反応が見えるであろうその饅頭の出来には男も驚くしかない。 完全にゆっくりを再現した饅頭がそこにはあった。 五皿目のものに飾りを付け加えるだけでやはり見栄えが違う。 店主の饅頭の出来に感心して見入っているとれいむがついに動いた。 「ゆ、ゆっくりしていってね」 「れいむどうしたのあれはおまんじゅうだよ?」 「まりさこそどうしたのあれはれいむだよ?」 ついにきた!男は心の中でガッツポーズをする。おそらく隣の部屋の店主もほくそ笑んでいるだろう。 れいむの行動も仕方ないほどの饅頭の造形の良さということだろう。 それと同時にれいむの中では心と行動の差が生まれている証拠である。 心ではこれが饅頭だとわかっている。しかし体はゆっくりであると認識して挨拶をしてしまった。 「どうしたれいむ」 「おにいさん、そこにいるのはれいむだよね!!」 「確かめてみるか?」 男はれいむを持ち上げ最後の皿に近づけてやる。 すぐさま食べる様子をみせてないところを見るとれいむはこれを饅頭とはみていないようだ。 「ゆっくりしていってね!!」 再びれいむが挨拶をしてもその声が虚しく部屋に響くのみだ。もちろん饅頭からの返答はない。 「どうだれいむ、さっきのは饅頭でこいつはれいむか」 「ゆゆゆゆっ」 穴が空きそうなほど饅頭を凝視するれいむに男は追い打ちを掛ける。 「やっぱり饅頭はゆっくりでゆっくりは饅頭じゃないか?」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!! でいぶはちがうよ゛!! ぞれはおまんじゅうだよ゛!!」 れいむは自身は饅頭である事否定したが、混乱している頭で考え続けていた。 目の前のあれはなんだ。饅頭なのかゆっくりなのか。 今にも動きそうな饅頭を片手に持ちれいむの目の前で男はつぶやく。 「実はこいつはなとてもゆっくりしているゆっくりなんだよ。本当にゆっくりできるゆっくりは動かずに一言も喋らずに笑顔でいるゆっくりのことをいうんだ。」 その言葉に二匹は息を呑む。 「それに比べたらお前達はゆっくりできてないなあ。大声で叫ぶし、忙しく跳ね回る。ゆっくりしていってねというだけなら人間でもできるぞ」 その言葉はゆっくりにとって最大の屈辱である。 ゆっくりできていない人間に自分も同じだと言われてしまったのだ。 そして皿の方を見てみれば自分よりも幼い子ゆっくりの全く動く事のない真のゆっくりを見せつけられている。 自分達はゆっくりなのにゆっくりできてない。 本当にゆっくりするっていうのはああいうことなのか。 今までの自分達の行動を振り返ればなんとゆっくりできていなかったことか。 そのショックにより二匹は動けなくなった。 いや、動かなくなった。これならゆっくりできる。これがゆっくりするということだ。 れいむは男の腕の中で、まりさは台の上で完全に固まってしまった。 片手の物を何度も空中に放っても反応を示さない。 「本当は饅頭なのになあ」 二匹は一度動かないと決めたらテコでも動くつもりはないようだった。 「お疲れ様でした」 「なかなか面白い結果になりましたね」 「二匹とも即座に動かなくなるのは少し予想外だったかな。もう少し抵抗というか反抗してくれると思ったけど 「これも饅頭の出来があまりにも良かったからですよ」 「そう言って貰うと嬉しいね。作った甲斐があったよ。大量生産は難しいけどいつかは商品として店に置く事にするよ」 「そのときは買いに来る事にしますね」 「味の方も確認してみてください。改良点があれば直しておくんで」 「ではさっそくいただきますね」 男は店主の薦めもあり一皿目から順に一個ずつ食べていく。 「本体の饅頭はやはり美味しいですね」 「ありがとうございます」 男が美味しそうに饅頭を頬張るにもかかわらず二匹のゆっくりは固まっている。視線もどこか中空を見たままでまったく動かさない。 「れいむとまりさはゆっくりしてますね」 「他のゆっくりもいつもこうだといいんけどねぇ」 二皿目、三皿目、四皿目と続けて食べる。 「目の部分は饅頭と違う食感がたまりませんね」 「季節によっては梅味にしようかなんて考えてます」 「そりゃ良さそうだ」 「歯の部分はサーッと溶けるようにするのが苦労したなぁ、饅頭の中に硬い物があったらびっくりしちゃうからね」 「確かに。さわやかな甘みもいいですね」 男が美味しそうに饅頭を食べても二匹は相変わらず動かない。 五皿目、六皿目は髪と髪飾りの飴細工についての苦労を聞かされた。 髪の毛のように細い飴を作るのに、棒状にした飴を折りたたんでは延ばし、さらに折りたたんでは延ばしを一時間は繰り返したそうだ。 「そうすることでようやく髪の細さに飴が仕上がるというわけだ。面倒だから色は直接塗ったけどね」 「なるほど美味しいお饅頭ありがとうございました」 「いえいえ、それじゃあ残りの奴らはどうしましょうか?」 「まあ二匹にはゆっくりと見てて貰いましょうか。その前に味見だけしておきます」 そういって改めて台に乗せられていたれいむとまりさを残った饅頭のほうに向ける。 いくら触られても何の反応も示さない。 「もうまるで饅頭だな」男が呟くのも無理はないほどに饅頭だった。 「まあこれで動き出しても饅頭よりゆっくりできてないわけだけどね」 これが決定的だった。もはや二匹は動く事はない。 自分達が饅頭以下であるはずがないとでも言わんばかりだ。 そして男は残された饅頭の目や口といった装飾の無い部分だけを一囓りする。 「うん饅頭だ。それじゃあ、そろそろ正体を明かしてやってください」 「わかりました」 男の合図で店主が残りの饅頭達に手を伸ばす。 一つの皿にまとめられた饅頭達は一つ一つピンセットとナイフで拘束が解かれていった。目にはめられていたセロファンを外すと一様に涙を流し、唇や歯の癒着を切り離してやると声を出し始めた。 「「「「ゆっくりしていってね!! ゆっくりしていってね!!」」」」 滝のように涙を流しながら必死に叫ぶ子ゆっくり達がそこにいた。 自分達は饅頭じゃない。気が付いてくれ。痛いから助けてくれ。 心で呼びかけても気が付かなかった目の前の二匹にきちんと聞こえるように叫んだ。 ここにいるのはあるものは飾りを奪われ、またあるものは髪を剃られ、口を閉じられ、目も奪われ、すべてを奪われた子ゆっくり達である。 するとどうだれいむとまりさは微かに動きを見せた。 二匹の心の動揺が手に取るように分かる。 饅頭が動き出した。男が美味しそうに食べた饅頭が急に動き出したのだ。 じゃあさっきお兄さんが食べたのは饅頭だったのかゆっくりだったのか。 あれは饅頭が喋っているだけだ。 でもゆっくりではないのだろうか。一番右の饅頭はどうみてもれいむだ。 しかしあんなに叫んでいるようではゆっくりできていないゆっくりだ。 あれ? やっぱりゆっくりななのか? いやいやあれは饅頭のはずだ。 それとも……。 「饅頭はゆっくりでゆっくりは饅頭だよ」 そうかそれならりかいができる。あれはまんじゅうでありゆっくりなんだ。 ということはじぶんたちもまんじゅうでありゆっくりなんだ。 そうか。じぶんたちはまんじゅうなのか。 れいむとまりさは考えるのを止めた。 あとがき わからなかったら人に聞く!ということでゆっくりを問いただしてみた。 ゆっくりが饅頭だと決めつけてかかってるから条件が平等ではないけどそこは華麗にスルーしてください。 あと同じようなネタがあるそうなので目新しさはないかもしれないです。 和菓子屋さんは自分のSSに出てきた人を再登場させてみたり。飴細工もできるようにしちゃった(ノ∀`) プロットなしの走り書きだからおかしいところもスルーしてください
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/413.html
なんとなくSSを書いてみる ○○ゴン○○○トモ○○ター○を久しぶりにやっていたら、突然こんなネタが浮かんだ。 文才…というか、ところどころおかしな表現があると思いますが、生暖かい目で見てください(ハァハァ 幻想郷にゆっくりたちが生息するようになってから、数か月が過ぎた。 人間の里では身近な甘味―――餡子の原材料を簡単に採取することができるとみてゆっくり加工所が建てられた。 永遠亭では、蓬莱の薬師がゆっくりを使って奇妙な実験をしていると聞く。 紅魔館では瀟洒なメイド長が主人とその妹に似たゆっくりを数匹育てているとサボり中の門番から聞いた。 ――――もっとも、その門番は俺がその場を立ち去った後、サボりが発覚。メイド長にお仕置きをされたようである。合掌。 今日の畑作業を終え、ゆっくりの侵入防止にゆっくりころりを数ヶ所に配置する。もちろん、看板も忘れずにだ。 帰り道、畦のそばを歩いているとゆっくりれいむとゆっくりみょんを連れている少年をみつけた。 いや、連れているというには、少々状況がおかしい。ゆっくりみょんが少年の指示に従ってゆっくりれいむを攻撃しているようである。 「ゆ゛ぶっ!ゆ゛げっ!ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛ぃ゛ぃ゛!」「ちーんぽ!」 お、ゆっくりみょんがれいむを倒したようだ。戦闘が終わったのを確認して俺はゆっくりみょんに指示を出していた少年に声をかけ、いったい何をしていたのかを聞きだした。 聞き出す途中、ゆっくりみょんがれいむの餡子を貪っていたが、先ほどの戦闘に興をひかれた俺はそんなことを気にせずに子供の話を真剣に聞く。 何でも、里の子供たちの間では野生のゆっくりを捕獲し、育成、配合させ、鍛え上げたゆっくり同士を戦い合わせる遊び―――ゆっくりバトル―――が流行っているようだ。 聞けば、子供たちだけではなく里の暇な(俺とて、例外ではない)者――老若男女問わず――の間でも広まりつつあるそうだ。 まず、少年のようなブリーダーで16歳以下は捕獲し、育成できるゆっくりの種族に制限がある。―――反面それ以上の年の者は低くはゆっくりれいむ。高くはゆっくりゆゆこ。すべてのゆっくりを育成できるのだそうだ。 育成をするのに、特別な資格は必要ないようである。ただし、公式の大会に出るには、ランクFの試合を受けてそれに勝ち通す必要があるのだそうだ。 俺は少年に、今日収穫した野菜と餡子を少年にお礼にとあげて、はやる心を抑えて家へ帰宅した。 「ゆっ?おにーさん、だれ?」 「おにーさん、ここはれいむとまりさのおうちだよ!ゆっくりできないひとはでていってね!」 帰宅した先に、不幸な生贄’ゆっくり’が2体。家を荒らしているのにでくわした。 「ゆっくりしていってね!」 俺は、いつもどおりの常套句をれいむとまりさに投げつけ――――傍にあった段ボールのなかにゆっくりれいむを閉じ込めた。 「ゆっ!?くらいよ!はやくだしてね!」 「おにーさん、れいむをだしてよ!」 あー。うるさいうるさい。そう思いながら気だるげな動作で足元ににじり寄ってきたゆっくりまりさを水槽の中にぶち込む。 「ゆべっ?おにーさんひどいよ!なんでこんなことするの!?」 とりあえず、水槽に入れたまりさを確認し、段ボールのなかかられいむを取り出す。 「なぁ、お前ら勝手に人の家に入っていいと思っているのか?」 「なにいってるの!ここはれいむとまりさのおうちだよ!おにーさんのじゃないよ!」 「ゆっくりできないおにーさんhゆ゛ぁ゛ぁ〝!?」 手のひらで、じたばたするれいむのほっぺたをつまみ、一気に引きちぎった。あ、やべ。ちょっと強すぎたかな・・・。餡子が駄々漏れになっている。 「れ゛い゛む〝ぅ゛ぅ゛ぅ゛!どう゛じでごん゛な゛ごどずる゛の゛ぉ゛ぉ゛!」 「ゆ゛ぴっ・・・ゆ゛ゆ゛・・・」 あーこりゃ、もう駄目だな。手なずけやすいれいむを育てようと思ったけど、まぁいいか。ゆっくりだし。 しばらくするとれいむは息絶えた。水槽の中で涙目になっているまりさを脇目に、台所へ行く。 しばらくして、まりさのもとに戻るとさっきまでの惨状を忘れ安らかな寝顔で眠っていた。――うわ、涎きたねぇ。 「おい、起きろ。」 「ゆゆ?もっとゆっくりさせてよ!」 「なんだ?もっと、寝たかったのか?じゃあ、この餌はいらないな。」 「ゆっ!ごはん?たべるたべる!ごはんちょーだい!」 騒ぎ立てる、まりさの水槽にれいむからとった餡子と野菜のカスを混ぜた餌をまりさに与え、部屋の片づけもそこそこに床につく。 翌日。 「ゆっくりしていってね!!!」といきなりの大音量で起こされる。時計を見るとまだ6時じゃないか、この糞大福。 まりさには野菜の切れ端を与え、朝食を終える。 俺は水槽からまりさをつかみ、庭へ放り投げる。「ゆぶぅ!?」情けない悲鳴をあげ、庭をころころ転がるまりさ。 「おにーさんひどいよ!ゆっくりできないよ!もっとゆっくりさせてね!」 「いいのか?俺にそんなこと言って。せっかく、おいしい餌’調教’を(させて)上げようと思ったのにな。」 「ゆゆ!ごはん!もっとほしいよ!」 「でも、ただじゃあげられないなぁ。やっぱりやめようか。」 「や゛だぁ゛ぁ゛ぁ゛。ごばんぼじい゛よ゛ぉ゛ぉ゛!な゛んでも゛い゛う゛ごどぎぎまずぅ゛ぅ゛!」 「何でも言うこと聞くんだな?よし。餌だ。」 涙目ながらも、餌がもらえることに喜んだまりさにえさを与え、今後の予定を考える。 1.まりさの基礎体力調べ 2.野良ゆっくり狩り 3.別のゆっくりを捕獲 このあたりが妥当なところだな。 よし。 「おい。ちょっとそこ走ってみろ。」 と、餌を食べ終えて「しあわせー」な顔になったまりさに命令する。 「ゆ!わかったよ!おにーさん!」 と、10歩分の幅の距離走る。どうやら、瞬発力はあるようだ。 「よしよし。次はその桶を持ち上げてみろ。」 といい、桶を持ち上げさせる。「ゆゆー」と言い何とか持ち上げるまりさ。 物を持ち上げる力は弱いようだ。 ―――中略――― とりあえず、一通りの基礎体力を調べた結果―――――瞬発力だけ強い、と。 明日からのトレーニングはスパルタでいこう。幾ら瞬発力だけが強くても、戦闘に有利にはなりにくい。 しかし、弱った。ここまで基礎体力が低いとは。このまま狩りに行ったとしても、囲まれたら\(^o^)/だろう。 そう悩んでいると、玄関周りの草むらからがさごそと音がした。 玄関に近寄り、草をかき分けるとゆっくりみまが隠れていた。逃げ出そうとするみま。素早くとらえる俺。 0.01秒の世界を展開させ、みまを捕獲。 「ゆっくりはなせ!」「!ししょー!おにーさんししょーをゆっくりはなしてね!」 このゆっくりはどうやらまりさの師匠らしい。 後でわかったことなのだがゆっくりみまは希少種でなかなか確認できないことで知られているそうなのだ。 まぁ…ちょうどいいか。ししょーというんだったら、弟子のまりさよりは強いはずだし。 そんな淡い期待を胸に、はなせはなせと暴れるみまとまりさを連れて、俺のブリーダー生活初日は終わった。 ―――――――――――――――――――――――――――― ゆっくりバトル物語。とあるブリーダーの話1 生意気にもあとがき これまでのSSでゆっくりみまが登場していなかったので、ついカッとなって出して見た。後悔はしていない。 餌とかの設定は、おいおい考えておくことにしてFランク闘技場はまりさとみまの師弟コンビで行かせるつもりです。 今後、考えておくこと↓ 旧作のゆっくりはどうするか?→必要とあらば出す。かませ犬な立ち場でも出す。 餡子の表現→これは想像力とセンスでカバーするしかないですなorz 育成風景→今回は―――中略―――とあらわした。必要、不必要かと思ったら―――中略―――と入れておきます。 略したところは、後書きに簡潔に書く…でいいか。 戦闘→直感とひらめき。 とりあえずこれくらいですか。 今回の育成↓ 基礎体力テスト→すてーたす欄のところを調べました。 ゆっくりすてーたす↓ まりさ ゆっくりサイズ:ばれーぼーる 瞬発力 B 力 C- 持久力 D タックル B- 速さ D+ 賢さ E 特徴:そんなに黒くない大福。調教次第では某○○スター○のス○○ムのように最終奥儀を習得するかも。 みま ゆっくりさいず:ばすけっとぼーる大 瞬発力 B++ 力 C++ 持久力 B+ タックル B+ 速さ B 賢さ C 特徴:まりさのししょー。独り立ちしたまりさを草陰からじっと見守っていた模様。餡子はずんだ。 2話はゆっくり狩りかなー…。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1585.html
初投稿、虐待描写少なめ。 ゆっくり包丁とお兄さん 「おきゃあしゃああん!ゆんやぁぁぁぁ!ゆんやぁぁっぁ!!」 「お姉しゃん!?こっちこにゃいでね!?こにゃいでぇぇぇ!!」 ガラス製のボウルにいれられたゆっくり達が体をぐねぐねとくねらせながら泣き叫んでいます。 知能の低い赤ゆたちでも親ゆの無残な姿を見れば、自分達が何されるかぐらいは解るのでしょう。 私はゆっくりれいむだった物からゆっくりと「ゆっくり包丁」を引き抜くと、ボウルの赤ゆに手を伸ばします。 「まりしゃはおそらを・・・ゆぴぃぃぃぃ!!」 「ゆわぁぁ!いもうちょー!」 私はその小さなゆっくりまりさに包丁を・・・ 私が「ゆっくり包丁」に出会ったのはもう5年も前のこと。 料理学校に通うことになった私に、父が包丁を買ってくれました。 次の休みの日に一緒に買いに行こうと父が言ってくれて、休みの日が待ち遠しかったのを覚えています。 そして当日、街の金物屋に行った時その包丁はありました。 野菜を切る包丁、お魚を切る包丁、普通の包丁、それらと一緒に並んでいたその包丁は、 今まで見たことのない不思議な形をしていました。 「それはね、ゆっくり専用の包丁さ」 隣にいたお兄さんがそう言いました。 「ゆっくりはね、苦しめば苦しむほど甘みと弾力が出て美味しくなるんだ、 余計な傷が付かないような鋭い刃、あえて傷を付ける鋸のような刃、 側面で潰したり叩いたり出来るようにそれなりの厚さと重さにしてある」 そう教えてくれました。 「この包丁に興味を持つなんて、君は虐待おn・・・いやいや料理人としての見込みがあるね」 そう言って私の頭をポンと叩くとお兄さんはお店を出て行きました。 その日は普通の包丁を買って貰ったのですが、私は「ゆっくり包丁」の事が気になって仕方ありませんでした。 ゆっくりって美味しいのかな、どのくらい甘くなるのかな、包丁高いかな、そんな事をいつも布団の中で考えていました。 今思えば、その時からもう私はその「ゆっくり包丁」に魅せられていたのです。 昔のことを思い出しながら私は下ごしらえを終えました。 さっきまではやかましかった厨房もいまでは静まり返っています。 料理に使えない親ゆの死骸はゴミ袋へ、皮と餡子そして中枢餡を分けた元赤ゆ達はそれぞれ別の容器へ。 「下ごしらえは済んだかな?それじゃ、そろそろ店を開ける準備をしようか」 「はい、山越オーナー」 料理学校のゆっくり科で優秀な成績だった私は、学校からの紹介でこの料理店で修行中です。 この店のオーナーはなんとあの時のお兄さん、私に「ゆっくり包丁」を教えてくれたお兄さん。 ここはレストランヤマゴエ、都内で有名なゆっくり専門の料理店です。 おしまい
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1479.html
※いわゆる独自設定と言われるものが含まれます、ご注意下さい ※一部ゆっくりの長文があり読みにくいと思います。一応漢字verも載せておきます。 最初それを見た時、青年は自分の目を疑った。 次に自分の頭を疑い、次にこれは夢では無いとかと疑い、これが現実であると再認識すると、今度は現実を否定してみた。 だがいくら疑ったり否定したところで、目の前の光景は変わらなかった。 それは、一人の人間の子供が、ゆっくりの一家と共に暮らしている光景だった。 熊も入れるほどの大きな洞窟。その中にゆっくりの一家と人間の子供はいた。 人間の子供、少女の年の頃は一見しただけでは判別できなかったが、少なくとも七歳にはなっていないだろう。 服など当然着ておらず、裸だった。 「ゆっくりしていってね!!!」 「「「ゆっくちちていってね!!!」 「ゆぅ、ゆっくちちていってね」 片親と思われるゆっくりれいむの声に反応し、トマトサイズ程の子ゆっくりと少女が同じ言葉で返す。 人間はゆっくりに比べると成長は遅い。たどたどしい口調でゆっくりの言葉を真似していた。 青年はゆっくり達に自分の存在が気づかれていないと分かると、側の木の陰に身を隠し、巣だと思われる洞窟内部のゆっくり達の様子を観察することにした。 一家の内訳は親れいむに子れいむ三匹。それに少女。 親れいむは巨大だった。二メートル越えの、いわゆるドスまりさと呼ばれる個体と同じ大きさを誇っていた。 さしずめキングれいむと言ったところか。 一家はどうやら食事中のようだった。さっきのは食事前の号令だろうか。 ゆっくり達は特に変わった様子もなく、森から採って来たであろう草や虫、木の実などをガツガツと貪っていた。 ゆっくり一家を見ていた視線を少女へと移す。青年は再び驚愕した。 少女の行動は、どう見ても人間のそれではなかった。 体は伏せて視線をゆっくり達に合わせようとしつつ、体はなるべく丸くなろうとし、手は使わず口だけでゆっくり達と同じものを口にしていた。 手を一切使うことなく口だけで、草花や生の木の実、そして蝶やムカデといった虫すらを、なんの抵抗もなく、まるでゆっくりのように貪っていた。 「む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~」 「「「む~ちゃ、む~ちゃ、ちゃ~わせ~」」」 「む~ちゃ、む~ちゃ、ちゃ~わせ~」 そして、このゆっくり語。 キングれいむ、子れいむの言葉に追従するように少女も同じ言葉を放っている。 この時点で青年はある可能性を思いついた。思いついたが、あまりにも荒唐無稽なので、心の裡で「まさか」と否定を重ねる。 「きょうのごはんは、おちびちゃんもかりをてつだってくれたんだよ!」 「ゆ、ゆっへん」 キングれいむの言葉に少女が体を丸めたまま──それはまるでゆっくりの真似をしているかのよう──、あごを少し上に向けた。 それは、ゆっくりが威張っている時の様子を真似しているように見えた。 「ゆ~、おねぇちゃんしゅご~い」 「さしゅがおっきいおねぇちゃんだにぇ!」 「しゅごいしゅごい!」 子ゆっくり三匹が、キングれいむが『おちびちゃん』と称した少女を賞賛する。『おねぇちゃん』と呼んで。 キングれいむも、子ゆっくりも、少女を人間としてではなく、完全にゆっくりとして、家族の一員として扱っている。 まさか。まさかまさかまさか。 〝あの少女はゆっくりによって育てられている〟。 先ほど青年が懐いた疑問が再び浮上する。 青年はいてもたってもいられなくなり、木の陰から飛び出した。 「ゆっくりしていってね!!!」 青年は洞窟の前まで飛び出すと、ゆっくりとの接触におけるセオリー通りに話しかけた。 こうすればゆっくりは、相手をゆっくりできる相手としていくらか警戒心を解いてくれるのだ。 「ゆっ、ゆっくりしていってね!!!」 「「「ゆっくちちていってね!!!」 「ゆぁ、ゆっくちちていってね」 キングれいむ、子れいむ、少女と順に返事が返ってきた。少女の反応は、完全にゆっくりのそれだった。 青年は混乱し、今にも暴れかねない自分をなんとか制止しながら、落ち着いてキングれいむに話しかけた。 「や、やぁ、君がお母さんれいむかい?」 「ゆっ、そうだよおにいさん!」 かつて人間に飼われていたのか、人間に暴力を振るわれたことがないのか、特に警戒することもなくキングれいむはこちらの言葉に応えてくれた。 ゆっくり相手とはいえ会話が成立したことで少しは落ち着いた青年は、一旦深呼吸をした後再び口を開いた。 「大きくて立派なお母さんゆっくりだね。そこの賢そうな子供達も、君の子供かい? 特に、この一番大きい子」 青年は震える指でそっと少女を指差し、訊ねた。 可能な限り速やかに情報を聞き出すために自制してはいるものの、やはりあまりの事態に震えは完全には止まらない。 「ゆぅ?」 指された当人の少女は、ゆっくりがするように首を傾げた。 「ゆぅ、ちっちゃいおちびちゃんはれいむがうんだこどもだけど、おっきいおちびちゃんはちがうんだよ」 キングれいむは悲しそうにそう言った。だがそんなものは当たり前のことなので気にはしない。 気になるのは、なんでその自分の子供ではないはずの人間の少女と一緒に暮らしているかということ。 「じゃあ、この娘は一体どうしたんだい?」 「おちびちゃんがまだちっちゃいときに、たすけたんだよ!」 「……たすけた?」 「そうだよ!」 「良かったら、その話を詳しく教えてはくれないかな?」 「ゆふふふっ、いいよっ」 キングれいむはとても嬉しそうな笑みを浮かべながら快く了承した。 笑みをたたえながら話し始めたキングれいむのその表情は、まるでガキ大将が自分の武勇伝を語るようだった。 「ずっとまえにね、れいむはゆっくりぷれいすをさがしていたんだよ! そのときにね、ひろくてだれもいないとてもゆっくりできそうなばしょをみつけたんだよ! このこはそこでまいごになってたの! ひとりっきりでないてたの! だかられいむはこのこをおくちのなかにいれてゆっくりさせてあげたの! れいむのおくちのなかにはいるとね、あかちゃんはみんなゆっくりできるんだよ! そうやってれいむがあたらしいゆっくりぷれいすでおちびちゃんをゆっくりさせてあげてるとね、にんげんがゆっくりぷれいすにはいってきたんだよ! にんげんはれいむのおうちにかってにはいってきただけじゃなく、おちびちゃんまでもってこうとしたから、れいむはにんげんをたおしてにげたの! それからこのおちびちゃんはずっとれいむのおちびちゃんなんだよ!」 (平仮名ばかりの長文なので下に漢字・カタカナ混じり文を載せておきます) 「ずっと前にね、れいむはゆっくりプレイスを探していたんだよ! その時にね、広くて誰も居ないとってもゆっくりできそうな場所を見つけたんだよ! この子はそこで迷子になってたの! 一人っきりで泣いてたの! だかられいむはこの子をお口の中に入れてゆっくりさせてあげたの! れいむのお口の中に入るとね、赤ちゃんは皆ゆっくりできるんだよ! そうやってれいむが新しいゆっくりプレイスでおちびちゃんをゆっくりさせてあげてるよね、人間がゆっくりプレイすに入って来たんだよ! 人間はれいむのお家に勝手に入って来ただけじゃなく、おちびちゃんまで持ってこうとしたから、れいむは人間を倒して逃げたの! それからこのおちびちゃんはずっとれいむのおちびちゃんなんだよ!」 (ここまで) その話を聞き、青年は全てを理解した。 この少女は赤ん坊の頃、キングれいむに誘拐された。恐らくは母親が少しの間家を留守にしたわずかな時間。 赤ん坊は家でぐっすりと寝ていた。だが母親が家に戻った時、そこにいたのは泣き続ける赤ん坊を口に含んだキングれいむ。 母親は必死になって赤ん坊を取り戻そうとキングれいむに飛び掛った。 だがそれに合わせてキングれいむも体当たりをし、体重差から押し負けた母親は倒され、踏まれ、ケガを負ってしまった。 そのため逃げる巨大ゆっくりれいむを追うことはできなかった。 恐らくは、そういうことだろう。 留守だった人間の家に押し入ったキングれいむ。恐らく、人間の家だとは理解しておらず、この洞窟のような自然に出来たものだと思い込んでいたのだろう。 そしてそこで寝ていた赤ん坊を、誰も居ない場所に置き去りにされた可愛そうな子供だと思い込んだのだろう。 同情か優しさか。 どちらにせよキングれいむは強者が弱者に手を差し伸べるように、種族違いにも関わらず小さな子供を我が子のように育ててきたのだろう。 人間に恐れや警戒を抱かなかったのは、かつて唯一敵対した人間を返り討ちにしたから。 このキングれいむの中では、人間は格下の存在だったから。 キングれいむはこの少女を、本当に我が子のように大切に育ててきたのだろう。 でなければこんな劣悪な環境でここまで育つわけがない。 そこには打算や我侭といったゆっくりの持つ害悪な感情は一切なく、優しさと愛に満ち溢れていたことだろう。 だが、それがどうしたということだ。 青年は気が付けばキングれいむを殴りつけていた。 ヘラヘラと気持ち悪く笑うその右頬に、全力で拳を叩きつけた。 拳に伝わるグニョグニョとした気持ち悪い感触に、更に殺意を募らせた青年は右手を引くと同時に左拳でも殴りつけた。 「ゆっ!? ゆぎぃぃぃぃ!! なに゛づる゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!?」 キングれいむは突然の痛みに顔を歪ませ喧しいダミ声で抗議の声をあげた。 だが流石は巨大ゆっくりといったところか。痛みは感じても体は皮も破れることなく無事だった。 しかし痛みに慣れてはいないのだろう。痛みからくる涙を流しながら激しく青年にまくし立てた。 「ゆぐぅぅぅぅ!! なにずるの゛おじざん!! ゆっぐり゛でぎないならざっざどででいっでね!」 キングれいむは青年に向かって、かつて人間を倒した体当たりを繰り出した。 しかし、 「ゆぅぅ!?」 それは青年に受け止められた。しっかりと足を前後に開き、正面から迫ってきたキングれいむを受け止めたのだ。 運動エネルギーの大きさは、その物体の質量と速さで決まる。 確かにキングれいむは巨体だ。中に餡子が詰まったその巨体の質量は並々ならぬことだろう。 だが、所詮は足のないゆっくり。いくら重かろうが、足の無い動物の鈍重な体当たりの速度などたかがしれている。 棒立ちの状態ならばともかく、しっかりと構えれば人間の成人男性ならば受け止めることは可能だ。 その上、青年は里では相撲の実力者だった。 「どぼじででいぶのたいあだりがぎがないの゛ぉぉぉぉぉぉ!?」 訳が分からず泣き始め、力の抜けたキングれいむを青年は蹴り飛ばした。 「ゆぐっ!!!」と顔をしかめながら僅かに後退したキングれいむは、今度は高く飛び上がった。 青年を押しつぶす気だろう。 その跳躍は約五メートル。これだけ高く飛べるのならば体当たりも強いと思うだろうが、地を蹴る足が無いゆっくりでは、前に跳ぶ力は上に跳ぶ力の何分の一にも満たない。 体当たりにさほどの威力がなくとも、上空からの押しつぶしならば効果があると思うだろう。 だが、それが通用するのは自分より遥かに小さい生物にだ。 上回ろうとも大きなサイズ差はない人間相手に、そんな攻撃は通じない。 キングれいむがズズン、と大きな音を立てて着地したその場所に、既に人間はいなかった。 「ゆ?」 手ごたえを感じずにキョロキョロと辺りを見渡すキングれいむの右目に、側面に回りこんだ青年の一撃が繰り出された。 それは棍棒による一撃。木にできたその棍棒には餡子がこべりついていた。 青年はこの場所へゆっくりを駆除しに来ていたのだ。 「ゆぶっ、いだい゛っぃぃぃぃぃ!!! でいぶのおめめがぁぁぁぁぁ!!」 体当たりも踏み潰しも、不意打ちならば人間にも効果があっただろうが、向かい合っての戦いではゆっくりには通じても人間には通じない。 足のあるものと無いものの速度差は歴然だ。 「ゆぅぅぅぅ、やめちぇね、やめちぇね!」 「おかあしゃんにらんぼうしないでにぇ!」 「やめちぇよぉぉぉ!!」 気づくと青年の足元にキングれいむの子供が殺到していた。足に縋り付き、泣きながら母親への暴行をやめてくれと懇願する。 その中に、少女もいた。 「や、やめちぇ、やめちぇ。おかぁしゃんをいじめにゃいで」 丸まった体で、手も使わずに間違った足の使い方をして小さな力で足に食いかかる小さな少女。 服も着ず、みすぼらしく汚れながらゆっくりを自分の母親と言いながら懇願する。 こんな、こんな事が許されてなるものか。 母親から引き離され、本来の生活も送れず、自分をゆっくりだと思い込みながら、薄汚れた饅頭を母親だと言う。 少女をこんな風にしてしまったゆっくりを、許してなるものか。 青年の心にあるのは、これまでの人生で感じたこともない程の怒り。 全身を駆け巡る怒りと殺意に身を任せ、足元に群がる子ゆっくりを蹴飛ばしながら、キングれいむに向かって手にもつ棍棒を振りかぶった。 右目を潰された痛みで転げまわるキングれいむの脳天に、右頬に、口に、下顎に、鼻に、後頭部に、次々と棍棒が振り下ろされる。 その度に棍棒はキングれいむを変形させ、皮を破り、餡子を飛び散らせる。 「ゆべっ、やべでっ! やべでねっ!」 動きを止め泣きじゃくるキングれいむの言葉に耳もかさず、青年はただ棍棒を振りかぶる。 青年は一言も発しない。青年の中にあるのは、言葉にすら出来ぬほどの怒りだったのだ。 「ゆぐぐぐ……やべろぉぉぉぉ!!!!」 遂に我慢できなくなったのか、キングれいむは今度はその大きな口を開いて噛み付こうとした。 顔=体であるゆっくりは、人間に比べて大きく口を開くことができる。 体の半分ほどの大きさまで開かれた口の中には、堅強な歯が並んでいる。 並みの大きさのゆっくりでも生野菜を齧れるほどだ。キングれいむ程のゆっくりともなれば人間の骨を砕くこともできるかもしれない。 だがそれは、当たった場合の話だ。 ガキン、と噛み付こうとしたキングれいむの歯が鳴る。青年は一歩、後ろに下がっていた。 人間でも噛み付きによる攻撃など、余程追い詰められた人間しかしない。それだって当たるかどうかだ。 牙を持って噛み付くことを攻撃とする動物は、大体において足を持っている。 そしてその足で地を蹴ることによる加速によって、相手が避けられぬ速度を叩き出しているのだ。 口を開けたことにより体当たりよりも更にリーチが短くなっており、しかも地を蹴る足のないゆっくりの鈍重な前進など、正面向かい合った人間に当たるはずがなかった。 青年はキングれいむに生まれた致命的な隙を逃さず、両手で持った棍棒で思いっきり脳天を叩き潰した。 「ゆぎい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!?」 白目をむき、口の端から泡を出して悶絶するキングれいむ。 構わず青年は無慈悲に棍棒で殴り続ける。 「ゆぎぃぃぃ!!! ひぎょうだよ! ぶぎをづがうなんでぇぇぇぇぇ!!!」 「卑怯? 馬鹿な事を言っちゃいけない。道具とそれを使う手は人間の武器だ。鷹の爪だ。蜂の針だ。魔法使いの魔法だ。 それを使うなということは、お前らで言うと足を焼いて動けなくすることに等しい。 そんな事を要求するお前の方が卑怯だろ」 キングれいむに対してようやく口を開いた青年の言葉がそれだった。 そしてそれはキングれいむが最後に聞いた言葉にもなった。 声を発しなくなっても構わず棍棒を振り続けた青年。原型を留めずグチャグチャになって、ただの皮と餡子の山になるまで攻撃は続いた。 ようやく棍棒を振る手を止め、肩で息をする青年。 ふと周りへ視線を向けると、子ゆっくりと少女は互いに身を寄せ合って洞窟の隅で涙を流しながら震えていた。 青年はそちらへと静かに歩み寄る。 子れいむが「こにゃいぢぇぇぇぇ!!」「やべでぇぇぇぇ!れいみゅころしゃないでぇぇぇ!!」 と泣き喚くが、それは青年の足を止める理由にはならない。 ただ、少女も青年へ目を向けて涙を流していることが、僅かに青年を身じろぎさせた。 だが青年は止まらなかった。 洞窟の隅まで来た青年は、「やめちぇぇぇぇ……」と呟く子れいむ三匹を踏み潰すと、少女を抱きかかえた。 棍棒もその場に投げ捨てて、両手で。 丸まった四肢を伸ばさせ、人間のように扱う。 その際少女が「おかぁしゃん……」と呟きながら気を失った。 気を失った少女を背負った青年は里へと戻った。 青年はありのままを里の者に伝え、里は騒然となった。 体の汚れを落し、服を着させ、まともな食事をとらせ、医者にも診させた。 これら全てにおいて、少女はまるでゆっくりのような反応を見せた。 長い間お湯に浸かると溶けるといい、服が自分を拘束するものだと思い、人間の食事を満面の笑みで「む~ちゃ、む~ちゃ、ちゃ~わせ~」と言いながら食べ、 医者に体を診られる時、襲われると思い込んだ。 そして案の定と言うべきか、少女の体は無数の病気と寄生虫に冒されていた。 医者の見立てでは長くはない、とのことだ。 それでも、青年は人間らしい、幸せな生活を送ってもらいたいと願った。 少女は青年の里の者ではなかった。青年は少女の母親を探しに、近隣の里を巡った。 そして隣の隣の、そのまた隣の里で、六年前巨大ゆっくりに赤ん坊を誘拐されたという女性に出会った。 間違いなく少女の母親だった。 青年はすぐさま少女を連れて、その母親のもとへ向かった。 母親は泣き崩れながら青年へ礼を言った。だが青年は申し訳ない気持ちで一杯だった。 母親が見つかるまでの間、青年は少女に自分は人間だと理解させ、人間らしい振る舞いや知識を教えようとした。 だが結局、ゆっくりらしさが抜けきることはなかった。 その上母親や姉妹だと思っていたゆっくりを殺したからか、人間に対して異常に脅えもした。 それも直すことはできなかった。 少女の母親は後は私の役目です、と青年に言った。 生きていただけでも嬉しい。たとえ先が長くないとしても、この娘を我が子として幸せにしてみせると。 青年もまた、協力は惜しまないつもりだ。 少女が、ゆっくりとしてではなく、人間として幸せに生きるためならば。 ──────────────── あとがきのようなもの この物語はフィクションです これまでに書いたもの ゆっくり合戦 ゆッカー ゆっくり求聞史紀 ゆっくり腹話術(前) ゆっくり腹話術(後) ゆっくりの飼い方 私の場合 虐待お兄さんVSゆっくりんピース 普通に虐待 普通に虐待2~以下無限ループ~ 二つの計画 ある復讐の結末(前) ある復讐の結末(中) ある復讐の結末(後-1) ある復讐の結末(後-2) ある復讐の結末(後-3) byキノコ馬 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/3053.html
『ゆっくりつり』 今日、俺は近くの神社の祭りに来ていた。 休日で仕事も無く、たまには祭りでも行くかと思い来たのだ。 焼きそば、ラムネ、チョコバナナなど俺が祭りを堪能しているとあるものが目に入った。 「お!ゆっつりじゃねーか!」 目の前には大きな看板にカラフルな文字で「ゆっくりつり」と描いてあった。 「小さい頃、俺もハマって、2千円も使ってかーちゃんに怒られたっけ・・・。 懐かしいな、いっちょやっか!おっちゃん大人一人!。」 「あいよ。」 おっちゃんは座っている椅子の横から、餌付きの糸を取り出し、男に渡した。 「あー!ちっくしょう!」 そんな声が隣から聞こえた。どうやら小学生ぐらいの子が失敗してしまったようだ。 それもそのはず。ゆっくりつりはかなり難しいのだ。 ゆっくりつりのゆっくりは大きなプラスチックの桶に入っている。 そのゆっくりを小さい針の付いた竿で釣るのだ。 ちなみに餌は甘い匂いのする謎の練り餌である。 これは、男が少年の頃から変わっていない。 ゆっくりつりは、かなり簡単そうに思えるが、やってみると凄く難しいのである。 「うーん、やっぱまりさかな。簡単だし。」 まりさ種は好奇心が強いため餌に食いつきやすいのだ。 男は餌をまりさに近づける。 釣りのルアーのように美味しそうな動きをさせながら。 まりさは餌をジィーっと見つめている。そして・・・ 「・・・あまあまさんはまりさにたべられてね!!」 食いついた。 「来たっ!」 ここからが勝負である。 体力があるまま、上に引き上げると糸が切れてしまうため。 下でゆっくりを弱らせないといけないのである。 男は竿を縦に動かし、まず口に針を引っ掛けた。 「むーしゃ むーし…!? ぴぎぃ!! いじゃいぃぃぃ!!!」 男は引っ掛かったことを声で確認すると竿を横に動かし始めた。 「やめぢぇえええ!! いちゃいよおおおおおおおお!!」 ちなみに桶にはオレンジジュースが少しだけ浸してある。 弱らすときに、ゆっくりの皮が裂けるのを伏せぐ為や 針から抜け出したゆっくりの傷口を早く再生させるためである。 もちろん、栄養剤としての効果も含まれている。 「ぴぃいいいいいいいいいい!!! やめてにぇえええええええええええ!! ぢんじゃうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 赤まりさの周りのゆっくりは赤まりさを哀れな目で見ている。 赤まりさもこのように学んだのに、それを活かせないのは餡子脳の故か。 赤まりさは床を滑らされ体力を消耗してきた。 死んだゆっくりを持ち帰っても意味がないので、 そろそろ男は釣り上げる事にした。 男の得意技『壁当て』だ。 方法は簡単、勢いをつけて壁にぶつけるだけだ。 「ゆあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!! ぶちゅがりゅう゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!」 ペチョンッ!! そんなよわよわしい音だが赤まりさには大ダメージだった。 「ち゛・・ぬ゛っ・・・! ち゛んじゃ・・・う゛っ・・・・!」 まりさはそんな事を言いながら男に釣り上げられた。 まりさの針を外し、オレンジジュースが浸ってあるお皿に入れた。 隣の小学生たちが 「すげぇー!!」 と言っている。少し気持ちいい。 おっちゃんが1匹釣り上げたので、もう一個餌を貰った。 持ち帰りは1人、2匹までらしい。 釣れなくても1匹貰えるらしい。 ちなみに、俺の地元では取れたら取れただけ貰える。 取れなかったら貰えない。 地元ルールがあるんだな・・・・・。 2匹目の獲物はどいつにするかはすぐ決まった。 あの、大きなありすだ。 明らかに大きいありすは、あのおっちゃんの罠だという事は分った。 しかし、男には分っていても挑まなければいけない時がある・・・! 「大きなありす」といってもテニスボールぐらいのサイズだ。 だが、さっきのピンポン玉赤まりさに比べれば凄く大きい。 男はありすの前に餌を落とした。 しかし、先ほどのまりさのように餌を動かすが反応はない。 口に穴の痕が多数有る事から、『餌は危険だ』 と言う事が頭に焼き付いているのだろう。 駄目か・・・、と思ったとき。 「あみゃあみゃな においがちゅるわ!! とかいはにゃ ありちゅに ぴったちでゃわ!!」 なんと、あの大きなありすの後ろに居た赤ありすが餌に向かって飛び出してきたのであった。 そして、赤ありすが餌に食い付こうとした時。 「ちびちゃんだめぇええええええええええええええ!!!」 「ゆ゛ッ!」 大きなありすが赤ありすに体当たりしたのであった。 その隙を見逃さず、男は大きなありすの口の中に餌を振り入れた。 「ゆっ!! ぴぃい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 浅く針を掛けるとハズれてしまうため、男は糸が切れるギリギリまで糸を張った。 どうやら、声からしてガッチリ、ハマったようだ。 それにしても、結果はともあれ。 貴重な餌を奪おうとした赤ありすに男は苛立ちを覚えた。 「・・・このチビが・・・・・・・・・・・・!!・・・・・・。 ・・・・・・・良い事思いついちまった・・・・・・・・・!・・・。」 この大きいありすは子どもな為、親と言う事は無い。 それに、この性格からしてレイパーと言うこともないだろう。 そのため、同じありす種という事で仲良くなったのではないか。 大きなありすは良い個体だが、 赤ありすはさっきの行動と言え、ゲスの素質があるのではないだろうか。 「さっきのチビ助、捕まった大きなありすから逃げてやがる・・・・・。 やっぱりとんだゲスだな・・・・・。 まあいい、最高のお仕置きをしてやるよ。」 男は竿を横に動かした。 オレンジジュースのおかげもあってか、重い体でもぬるぬると動く。 「よし、滑るな。」 そう言って、男はありすが滑る事を確認すると、 赤まりさの時と同じように動かし始めた。 「い゛じゃい゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! お゛に゛い゛さ゛ん゛や゛め゛て゛く゛ださ゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 体重のある分痛みも強いのだろう。 大きなありすは、赤まりさの時よりよく叫んでいる。 しかし、そんなのは関係ない。 男の目的は『大きいありすを釣り上げる』から 『ゲスチビをぶち殺す』に変わったからである。 大きいありすを滑らし続けながらもさっきのゲスチビを男は捜した。 「・・・・・・・・・・居た! あの野朗、角でやり過ごそうとしてやがる。」 男は大きいありすをその角目掛けて移動し始めた。 まわりのゆっくりはピー ピーいいながらありすを避けている。 「ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ゆ゛っく゛り゛でき゛ない゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 大きいありすは竿に身を任せ、どんどん加速していく。 目標になっている赤ありすは、なにかが自分に迫ってきて恐怖に怯えている。 「く゛る゛に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ばでぃずは゛と゛か゛い゛は゛に゛ゃん゛だじょお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!! ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ ぴぃッ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 そして・・・ 2匹は激突した。 ぐちゃり…と音を立てて。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゆう?」 赤ありすは潰されなかった。 なぜか?、答は簡単 『角に居たから』 だ。 恐る恐る目を開けた赤ありすの前には 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!」 体中からカスタードをはみ出させた大きなありすが居た。 「・・・・ゆ・・・・・・っ゛・・・・・・・ぐり゛・・・・じね゛っ・・・・・・! ・・・・ゲ・・・・ス゛・・・・・め゛っ・・・・・・!」 弱りきった大きなありすは男に釣り上げられた。 そして・・・・・赤ありすの上に落とされた。 「ゆぴゃッ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 赤ありすは死んだ。恐怖に怯えながら。 「あ~ ごめん、おっちゃん。1匹、関係ないの潰しちゃったわ。」 「ああ、別にいいよ。いっぱいいるしな。」 それだけの命であった。 それから、2匹のゆっくりを手に入れた男は神社を後にした。 そして、帰り道。 「あー、すっきりした。あのゲスチビの最後の表情最高だったぜ。」 「・・・・・ん?」 男の持つ、ビニール袋の中でなにかがもぞもぞしている。 男はビニール袋に目線まで持ち上げてみると 最初に釣り上げたまりさが動き始めたのだ。 人間で言う全身打撲だというのに、 約30分である程度まで動けるとは驚きの生命力である。 「・・・・・ゆ・・・・ゆう・・・?・・・・こょこょ・・・どきょ・・・・?・・・・・・・・」 「すげーなー ゆっくりって、まあいいや。」 男はビニール袋の結びを取ると、中からまりさを取り出し手のひらに置いた。 まりさは初対面の男に対して緊張しているのか、怯えているのかプルプルしている。 「ゆっ・・・ゆっくりしてい「 い た だ き ま す ! 」 まりさは口の中に放り込まれた。 「くちょくちょ・・・・うん! ゆっくりの踊り食いは最高だな!」 お わ り 補足(※ありすはスタッフがおいしくいただきました) あとがき 初投稿SSです。 批判お待ちしております。 きよ
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1022.html
※舞台は何故かゆっくりが当然のようにいる現代です。 ※ゆっくりいじめWiki ゆっくりいじめ系665 ゆっくり研究 の続きですが読まなくても問題は無いはずです。 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そして、俺はゆっくりの研究でおまんまを食わしてもらっている“ゆっくりカンパニー”のしがない一社員だ。 ゆっくりの死因の中で最も多いのは飼い主の居ない部屋で思慮もなく飛び跳ねたゆっくりが不慮の事故に遭うというものだ。 もちろん、それだけなら底部を少し焼けば済む話なのだが、人間がゆっくりを飼う時、ゆっくりには元気良く跳ね回って欲しいと思うもの。 そこで、俺に「人が居ないときは飛び跳ねないが人間がいるときには元気良く飛び跳ねるゆっくりの育成方法を考えろ」というわけのわからない命令が下された。 とりあえず、実験の基本になるのは以前行った条件付け。 やはり「人間の居ない所で飛び跳ねるとゆっくり出来ない」という事を体に理解させることだろうか? あるいは「人間の居ない所で跳ねないでいると後で良い事がある」という事を理解させるべきだろうか? しかも、これと並行して「人間の居るところではきちんと飛び跳ねる」ようにもしておかないといけないと言うのだから煩わしい事この上ない。 こちらに関しても「人間の居るときに飛び跳ねないと酷い目に遭う」と「居るときに飛び跳ねると良い事がある」の2つを並行して検証することになるだろう。 とりあえず実験に使用する個体はペットとしていちばん一般的なゆっくりれいむの赤ちゃん。 いずれのれいむも同じ親の同じ茎から産まれている。 この赤れいむ達の体内には振動を感知することで一瞬だけ点火する超小型ライターが内蔵されている。 また、このライターは俺の手にしているリモコンで点火や振動感知にロックをかけることも出来、それによって人が居るときの条件を切り替える。 実験に使用する赤れいむの数は4匹。 赤れいむAには「人間の居ない時に飛び跳ねるとゆっくり出来ない」と「人間の居るときに飛び跳ねないとゆっくり出来ない」というルールを課す。 赤れいむBには「人間の居ない時に飛び跳ねるとゆっくり出来ない」と「人間の居るときに飛び跳ねると良い事がある」というルールを課す。 赤れいむCには「人間の居ない時に飛び跳ねないで居ると良い事がある」と「人間の居るときに飛び跳ねないとゆっくり出来ない」というルールを課す。 赤れいむDには「人間の居ない時に飛び跳ねないで居ると良い事がある」と「人間の居るときに飛び跳ねると良い事がある」というルールを課す。 実験期間は1週間でいいか。さて、これで上手く行くと良いのだが・・・。 【実験開始】 「ゆっきゅり~?」 目を覚ますと誰も居ないことに気づいた赤れいむAは困惑を隠せない様子だった。 おかーさんはどこ?おねーちゃんはどこ?そんな言葉が聞こえてきそうなほどに必死になって観察用のケースの中を見回して家族の姿を探している。 しかし、そのケースの中には誰もいない。 「ゆぅうぅうう・・・」 その事実に気がついた赤れいむAは涙を浮かべ、飛び跳ねた。 恐らく、ケース内のどこかに隠れていると考えたのだろう。 頑張って探せばどこかにおねーちゃんやおかーさんがいるに違いない。 みんなを見つけたらきっとれいむのことを「おにごっこがじょうずなゆっくりしたこだね」って褒めてくれるに違いない。 そんな期待をこめての一歩だろうか? あるいは孤独の恐怖と寂しさから逃げるために家族を求めているだけだろうか? 何にせよ、赤れいむAは小さな体を一生懸命に使って飛び上がり、クッション代わりの藁が敷き詰められた床に着地した。 その瞬間に衝撃を感知した超小型ライターが、瞬きほどの短い間、赤れいむAの体内の餡子を炙った。 「ゆぎゅう!?」 何の前触れもなく体内から発せられた痛みに赤れいむAは目を大きく見開き、硬直している。 ぱくぱくと口を開閉しながら、小さな体中から脂汗のようなものをだらだら流して、青ざめた表情のままその姿勢でじっとしていた。 「ゆ、ゆわあああああああああああああああん!!」 およそ3秒が経過したころだろうか。赤れいむAは堰を切ったようにのた打ち回りながら泣き始めた。 口を思いっきり開き、目からは大粒の涙をぼろぼろ零しながら、必死に助けを求める。 しかし、誰も助けに来ない。 「いぢゃいよおおおおお!ゆううううううう・・・ゆっぐ・・・!」 それでも、赤れいむAは泣き続ける。 それは守られなければ生きていけない弱い存在に与えられた唯一の命綱。 が、泣けども泣けども誰も助けに来ない。 「ゆっぐ・・・ゆっ・・・!」 10分ほどして、それが無意味であると悟った赤れいむAは痛みを堪え、呻きながらも居るはずのない家族の捜索を再開した。 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・ゆ・・・」 そうしてケースの中を這いずり回っているうちに遊具の前へたどり着いた。 もっとも、遊具と言ってもあまり衝撃を与えるとライターが点火するので、赤ゆっくりサイズの立方体のクッションとか鈴のついた木の枝(振ると音が鳴る)のようなつまらないものばかりなのだが。 「ゆ、ゆ~・・・?」 それでも家族もおらず、また何もないケースの中で、赤れいむAの興味を引くようなものはそれだけしかない。 「ゆっきゅりあちょぶよ!」 だから赤ん坊なりにそれを咥えたり、(落下よりずっと弱い力で)ぶつかったり、頬ずりたりしている。 「ゆ~、ゆ~♪」 そうやって遊んでいるうちに、家族が居ない寂しさや、さっきの痛い思いをした悲しさがまぎれてきたのだろう。 声の調子が徐々に明るくなり、やがて鼻歌交じりになって行く。 「ゆっきゅり~♪」 そして、嬉しさと楽しさの乗せられて赤れいむAはその場で飛び跳ねて喜びを表現した。 飛び跳ねれば当然落下する。赤れいむAもその摂理に漏れることなく落下、着地し、その衝撃によりライターが点火。 「ゆきぇ!?」 短く悲鳴を上げた赤れいむAはさっきと違ってその痛みにすぐに反応した。 「ゆううううううう!ゆうううううう!」 先ほどと同様に顔を真っ青にして転げまわりながらも、赤れいむAは泣きじゃくるが、やはり誰も助けには来ない。 「ゆっぎゅり~!ゆっぎゅうううう!!・・・ゆっぐ・・・ゆっぐ」 そうやってしばらく痛がり続けていたが、やがて痛みも引いてきたのだろう、のそりと起き上がると、ゆっくりと這いずって巣まで戻っていった。 赤れいむAが巣に戻る途中、俺は餌をやるためにケースを開けると、赤れいむAに声をかけた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっ!ゆっきゅりちちぇっちぇね!」 俺の言葉に反応した赤れいむAは自分以外の動く存在を見つけたことで酷く嬉しそうな表情をする。 「ゆっきゅり!おにーしゃんはゆっきゅりできりゅひちょ?」 「おにーしゃ、、れいみゅをこきょからだぢちぇよ!」 必死に体を揺すってアピールするが、それに反応する義理はないので無視する。 そして、適当にケースの中に餌をばら撒いてから、じっと赤ゆっくりAの様子を伺う。 「ゆ~!・・・む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」 餌に気づいた赤れいむAはすぐさまそれに噛り付き、涙を浮かべて幸福を堪能している。 食べ終える、ともっと欲しいのか、じっと俺のほうを見つめて「ゆっきゅり!」などと鳴き続けていた。 もちろん、一切反応しない。ただ観察し続けるだけだ。 「ゆっきゅり~!おにーしゃーん!」 それでもめげずに何かをアピールし続けていた赤れいむA。しかし、一向に跳躍する気配を見せない。 仕方がないので、俺はライターを点火させて、ゆっくりの体内を軽く炙った。 「ゆっぎぃ!?」 予期せぬ痛みに驚愕した赤れいむAはまたさっきと同じようになきながら転げ回り、しばらくすると落ち着いて呼吸を整え始めた。 「ゆっきゅり!いちゃいよおおお!ゆ~っ!」 思ったよりすぐに痛みから立ち直った赤れいむAは目にいっぱいの涙をためながら再び俺に何かをアピールし始める。 「ゆっきゅ~!!たしゅけてよぉ~!」 「ぷきゅううううううう!」 小さな体を左右に振り、時には頬を膨らませながら延々とアピールし続ける。 その行為に必死になりすぎて、ふとした拍子に赤れいむAはつい跳躍してしまった。 そして、その赤れいむAの落下する直前の表情には明らかに恐怖がにじんでいる。 まだ2度目だが、条件付けによって跳躍と苦痛がきちんと結びついていることがこれで確認できた。 赤れいむAは着地と同時に身を小さくして震えるが、何時までたってもさっきのような痛みがやってこない。 そのことに気づいた赤れいむAは少しの間、不思議そうに首をかしげていたが、すぐに喜び勇んで飛び跳ね回った。 「ゆっきゅり~♪ゆっ~♪」 2度、3度、4度・・・跳躍できる幸せをかみ締めるように飛び跳ねる赤れいむA。 その様子を確認したところで、俺は最後にもう一度声をかけてケースを閉めた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆぅ?」 ケースの蓋が閉められた直後、赤れいむAは俺を探してケースの中をきょろきょろと見回していたが、それにも飽きて、眠きなったのかあくびをした。 そして、寝床に早く戻るために元気よく跳躍をして、何故かまたあの痛みに苦しむことになった。 赤れいむBは案外たくましかった。いや、純粋に強かった。 「ゆっきゅり~?おきゃーしゃん、どきょ?」 目覚めてすぐこそ赤れいむAと同じようにおどおどした表情でその場で辺りを見回して家族を探していたが、いないと知るとすぐに意を決して最初の跳躍に踏み切った。 おかげで仕事がはかどって助かる。 赤ん坊なりに力強く飛翔した赤れいむBは着地と同時に今まで味わったことのない感覚に襲われた。 「ゆぐふぅ!?」 全身を一瞬にして駆け巡る鋭い痛み。それは点火のそれとは明らかに異なるものだった。 実を言うと赤れいむBのライターはライターではなく、衝撃を受けると針が飛び出して、餡子をえぐるだけの代物なのだ。 しかし、使用している針は長さも太さも相当のものなので、ゆっくりに与える痛みは瞬間的にはこちらのほうが大きいかもしれない。 「ゆぎいいぃいっぃいいい!?」 あまりの痛みに白目を剥いて、もんどりうつこともままならずにぴくぴくと痙攣して苦しむ赤れいむB。 「ゆがぁ・・・ゆぎ・・・」 呼吸が一気に荒くなり、口から泡を吹き始める。しかし、餡子を吐く様子は見られない。 「ゆぐぅ・・・ゆぎぃ・・・ゆぐぅ・・・ゆう・・・」 そんな状態から赤れいむBは20秒ほどで体の自由を取り戻すと、最初の威勢のよさは何処へやら、赤れいむA同様にその場にへたり込んで大泣きし始めた。 なるほど。ダメージは点火より大きいが生命の危機を及ぼすことは無いし、立ち直りも針のほうが早いのか。これは便利だ。 などと考えていると、赤れいむBは思ったよりも早く立ち直り、すぐに這いずっての家族の捜索を再開した。 「みんにゃ~・・・ゆっきゅりでちぇきちぇにぇ!」 一生懸命声を張り上げながら赤ん坊には大きすぎるくらいのケースの中を必死に這いまわる。 「ゆっきゅり~!ゆっきゅりしちぇっちぇにぇ!」 責任感の強い個体なのだろうか?さっきの赤れいむAと違って目の前の遊具に目もくれず、ひたすら家族を探し続けている。 しかし、いるはずのないものが見つかるわけがない。 どれだけ捜しても見つからないという現実が徐々に赤れいむBを焦らせ、孤独の恐怖へと駆り立てていく。 その感覚に気づいてか、赤れいむBの足取りは徐々に速くなっていき、やがて跳躍を用いたものに切り替わった。 が、その瞬間、先ほどの想像を絶する苦痛が赤れいむBに再び襲い掛かった。 「ゆ゛っ!?」 先ほどと違って着地に失敗し、べちゃりと顔面から床に倒れると、その表情を伺うことの出来ない体勢のまま、再び痙攣し始めた。 「ぶ・・・ぶぅ・・・ぶぎゅ・・・」 地面に押さえつけられた口から漏れ出すくぐもった声は酷く濁っていてほとんど聞き取れないが、苦しんでいることだけは間違いないだろう。 そうして20秒ほど経つと、地面に突っ伏していた赤れいむBはのそりと起き上がり、目にいっぱいの涙を浮かべながら、再び這いずり始めた。 「ゆっ・・・ぐ・・・ゆっぐ・・・」 泣き出さなかったのは必死に堪えているだけらしい。耳を済ませてみると嗚咽が漏れているのが聞き取れた。 「ゆ・・・っきゅり~・・・」 そして、痛みと悲しみを堪えながら懸命に家族を捜索し続ける。 その姿に内心感動を覚えながらも、出来る限り無表情のままケースの蓋を開けて、赤れいむBに話しかけた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」 本能に従って返事をした赤れいむBは俺の顔を見ながら赤れいむA同様に必死に何かを訴えかけてくる。 「ゆっきゅり~!おにーしゃん、れいみゅにょおきゃーしゃんちらにゃい?」 身振り手振り(ないけど)を交えながら一生懸命俺とコミュニケーションを図ろうとするが、残念ながらやっぱり相手をするつもりはない。 そもそも、不要なコミュニケーションを図ると実験の妨げになる。仕方がないのでさっさと餌を置いて、観察を続ける。 するとやはりお腹の空いていた赤れいむBはすぐさま餌に飛びつき、幸せを満喫し始めた。 「む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」 そうして食べ終わると、の赤れいむA同様に喜びのあまりについ飛び跳ねてしまった。 そして、赤れいむBもまた今から来るであろう痛みに怯えていた。が、当然観察者がいる状況なので痛みはやってこない。 「れいむ、凄いじゃないか!こんなに小さいのにあんな跳躍が出来るなんて!お前はゆっくりした子だな!」 代わりに俺の如何わしさ満点の大仰な褒め言葉が飛んできた。 「ゆ?ゆぅ~・・・ゆっきゅり!」 褒められた赤れいむBは最初はきょとんとしていたが、すぐに顔を赤くして俯き、それから満面の笑みを俺に返してきた。 「ゆっきゅり!ゆ~~~~っ!」 「おっ、さっきよりも凄いジャンプじゃないか!」 それから、何度も何度も俺に見せびらかすようにぴょんぴょんと跳躍を繰り返す。 「ゆ~!」 「なんてゆっくりしてるんだ!」 「ゆっゆっ!」 「れいむはゆっくりの天才だな!」 「ゆっきゅり~!」 「凄すぎるぞ、れいむ!」 その度に俺は心にもない賛辞を送り、その度にれいむは大喜びしていた。 しばらくそうやって遊んでいたが、すぐに次のケースを確認する必要があったので、赤れいむBに「ゆっくりしていってね!」と別れを告げてケースの蓋を閉めた。 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」 既に見えなくなった俺に返事をしながら楽しそうに跳躍する赤れいむB。 着地した直後に、またしても「ゆぐぉ!?」という短い悲鳴を上げ、白目を剥いて痙攣し始めた。 赤れいむCは恐ろしくマイペースだった。 家族がいないことに気づいた時には確かに困惑していたが、すぐに見つけた遊具で遊び始めた。 「ゆゆゆ~~~っ!ゆっ!!」 赤れいむCが特に好んでいる遊びは立方体のクッションに体当たりすることだ。 こいつは「人のいないところで跳躍しなければご褒美を与える」というルールなので跳躍によって痛い目に遭うことがない。 そのため、家族のいない寂しさを紛らわすかのように異様なまでのはしゃいでいた。 「ゆっきゅり~♪」 歌を歌いながら跳ね回り、歌を歌っていたかと思うと・・・ 「ゆっゆっゆ・・・」 いきなり、クッションと格闘をはじめ、そうかと思うと・・・ 「ゆ~~~!」 鈴のついた棒を振り回してちりんちりんと鈴の音を響かせていた。 そうして、ひとしきりゆっくり遊んだ赤れいむCは遊び疲れて眠ってしまった。 「ゆぅ~、ゆぅ~・・・」 お約束のゆっくりすまいるを浮かべながら寝床ではなく、お気に入りの立方体クッションに頬を摺り寄せて眠る赤れいむC。 その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。 「ゆぅ~・・・おきゃーしゅん・・・」 そして、寝言で家族を読んでいた。 しばらく様子を観察していたが一向に目を覚ます気配がないので、蓋を開けて赤れいむCに挨拶をする。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆぅ・・・ゆっきゅりちちぇっちぇねにぇ!」 その言葉によって強制的に目を覚まさせられた赤れいむCは、寝ぼけ眼のままきょろきょろとあたりの様子を伺うと、俺の存在に気づかずそのまま再び眠りについてしまった。 「ゆぅ・・・ゆぅ~・・・みょーちゃべりぇにゃいよ~・・・」 ベタな寝言を口にした赤れいむCの表情は実に幸せそうだ。 しかし、このケースのルールは「人間の居るときには跳ねないと痛い目に遭う」なのでとっととスイッチを押した。 「ゆっぎゅううううううううううううう!?」 その瞬間、赤れいむCはクワッと目を見開き、顔を真っ赤にしながらケースの中を舌を出して走り回ることになった。 「きゃりゃいよ!きゃりゃいよおおおおお!」 そういって、設置しておいた水のみ場へ急ぐと、水を浴びるように飲んだ。 しかし、突然やってきた辛さが抜けることはない。 当然だろう。その辛さは舌ではなく体内の餡子から来ているのだから。 さっき俺の押したライターのスイッチ。あれも赤れいむBのもの同様にライター以外のものに改造されている。 それによって少量のタバスコソースが赤れいむCの体内に射出されたのだ。 もちろん、赤れいむCにはそんなことわかるはずもないので下を出しながら飛び跳ねまくっている。 10分ほどだろうか、しばらくそうしているとタバスコが餡子に分解され、辛さが引いてきたのか徐々に落ち着きを取り戻し始めた。 「おにーしゃん!ゆっきゅりできにゃいよ!」 どうやら、この赤れいむCはゆっくり出来ないもの、さっきの辛さの原因を観察者であると仮定したらしい。 まあ、実際その通りなのだが。しかし、赤れいむCに文句を言われたところで相手をするつもりなどさらさらないので、無視して観察を続ける。 「ゆっきゅりあっちいっちぇにぇ!」 「おにーしゃんちょはゆっきゅりできにゃいよ!」 しばらくは俺に向かって頬を膨らませて威嚇したり、飛び跳ねながら文句を言ったりしていたが、俺が餌を置くと態度が一変した。 「ゆゆっ?むーちゃむーちゃ、ちあわちぇ~!」 「おにーしゃんはゆっきゅりできりゅひちょだね!」 「れいみゅといっちょにゆっきゅりちよ!」 もちろん相手をするつもりなんてさらさらないので無視し続けていると、やがて諦めて立方体のクッションで遊び始めた。 「ゆんっ!」ポスッ 「ゆっきゅり!」パスッ 「ゆゆ~っ!」ポコ 赤れいむCがクッションにタックルするたびに気の抜けた音がケースの中に響き渡る。 が、何回目かのタックルを仕掛けようとしたとき、突然赤れいむCの体がぶるっと震え、恥ずかしそうな表情になった。 「ゆゆっ!れいみゅのぽんぽんがいちゃいよ!ちーちーちなきゃ!」 さっき辛さを忘れるために水を大量に飲んでしまったためだろう。体内に過剰な水分を溜め込むと生死に関わるゆっくりにとって放尿は死活問題だ。 赤れいむCは遊具のある場所から少し離れた場所へ行くと、そこですこしふんぞり返るような格好になり、ぷるぷる震えている。 30秒ほどその格好のままでいた赤れいむCが爽快感に満ちた表情を浮かべた瞬間、口のしたあたりに小さな穴が開いて、そこから若干餡子の混じったうっすいお汁粉?がちょろちょろと漏れ出してきた。 しーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ・・・ それから10秒ほどその液体を放出し続けた赤れいむCは放尿を終えてからも爽快感に頬を緩ませたまま、その場から動こうとしなかった。 流石にこれ以上ゆっくりさせすぎるのも具合が悪い気がしたので、スイッチを押して、タバスコソースをお見舞いしてから蓋を閉じた。 べちゃという水音と、「きゃりゃいよー!」とか「きちゃにゃいよー!」という叫び声が聞こえたが気にするほどのものでもないだろう。 赤れいむDは観察者がいる状態になる前の経過は赤れいむCとほぼ変わらなかったので適当に割愛してさっさと観察状態に入った。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっきゅりちちぇっちぇにぇ!」 自由奔放に生活することの許された赤れいむDは満面の笑みを浮かべて返事をする。 「おにーしゃんはゆっきゅちできりゅひちょ?」 「おにーしゃん、れいみゅのおきゃーしゃんちらにゃい?」 「おにーしゃん、にゃにかいっちぇよ!」 などなど、色々と話しかけてくるが当然必要のない会話をするつもりはないので無視し続けた。 「ゆぅぅぅううううううう!」 業を煮やした赤れいむDはぷくうううううっと頬を膨らませて、目に涙を浮かべながら俺に抗議し始める。 しかし当然無視し続ける。 「にゃにかいっちぇよ!」 そんな俺に腹を立てながら赤れいむDは元気よく跳躍した。 「おお、凄いジャンプじゃないか!」 「ゆぅ?」 ずっと無反応だった俺に突然跳躍を褒められて困惑する赤れいむD。 それから、首を傾げつつもう一度跳躍する。 「すごい!こんなゆっくりしたジャンプ見たことがないぞ!」 こんな白々しい言葉でもやはり嬉しいらしい。すこし照れ笑いをしながら何度も跳躍を繰り返す。 「おにーしゃん!」 「おお、さっきよりも凄い!」 「れいみゅのじゃんぴゅは!」 「おお!」 「しゅごいでちょ?!」 「なんてゆっくりしてるんだ!」 跳躍すれば俺がかまってくれることに気づいた赤れいむDは息が切れるまで跳躍し続けた。 そして体力がなくなるまで跳ね続け、跳躍を止めたところで俺は赤れいむDのケースに餌を放り込んだ。 「ゆぅ?・・・むーちゃむーちゃ、ちあわちぇ~!」 餌を食べられる幸せをかみ締めている赤れいむDを眺めながらとっとと蓋を閉め、ケースから離れた。 【結果報告】 赤れいむAは上からの要求である「人目のあるときだけ跳ねる」という条件を満たすことが出来た。 幸い、「人間が見ているときにゆっくりしすぎていると痛い目に遭う」という条件設定も3日目には理解してくれていた。 しかし、この赤れいむAは失敗作以外の何者でもなかった。 まず、人間がいる時に痛い目に遭ったことが原因で人間に対して恐怖心を抱いている。 それゆえにあまり人間に懐こうとしないのだ。 それどころか、そういった経験から人間を「ゆっくりできないもの」として認識してしまっている。 ゆっくりにとっての「ゆっくりできる」とは「やりたいときにやりたいことが出来る」ということに他ならない。 人間の居ないときは飛び跳ねることが出来ず、人間のいるときは飛び跳ねねばならない。 それはすべての行動を人間が居るか否かということによって強制されているようなもの。 こういった理由から赤れいむAはそもそも人間に近づこうとさえしなかった。 そして、それでも人間から近寄ったときには卑屈な笑みを浮かべながら痛い目に遭わない最低水準の運動だけを壊れたおもちゃのように繰り返すだけだった。 これでは客の要望に応えているとは言いがたく、とてもじゃないがペットショップに並べられるものではない。 よって赤れいむAは「人間に懐かないゆっくりに刷り込みを引き起こさせることで強制的に従順にする薬品」の実験に回すことになった。 赤れいむBは唯一にして最高の成功例となった。 まず、上からの要望である「人目のあるときだけ跳ねる」をきっちりと満たしている。 しかし、本当に重要なのはそこではない。 この赤れいむBはペットとしてゆっくりを欲しがる人の理想的なゆっくり像を完全に体現していたのだ。 まず、人間が見ているときは「跳ねれば褒められるし、寝ていたって問題ない」という環境にいたため、人間に対して悪いイメージを持ち合わせていない。 それどころか、人間こそ自分達に本当のゆっくりを与えてくれる存在として全幅の信頼を置いている。 実験開始から3日が経つ頃には俺がケースの蓋を開ける時間になると、赤れいむBはそわそわしながら天井を見上げ、顔を覗かせた瞬間に満面の笑みを浮かべて挨拶をしてきた。 たとえるならば飼い主の帰宅時間になると玄関口で待っている犬のようなものだろう。 次に普段跳ねられない分を発散するかのように人間の居るときには自ら進んで積極的に飛び跳ねる。 それは赤れいむAのように強制されたものではない。自分をゆっくりさせてくれる人間が褒めてくれるから跳ねるという自発的な行動だ。 付け加えるならば、跳ねることで自分をゆっくりさせてくれる人間をゆっくりさせてあげられるとさえ思っているようでもあった。 最後に人間が跳ねるなと命じたときや、ゆっくりしたい気分のときは基本的にゆっくりする姿勢も重要だ。 満ち足りているときには何もせずゆっくりとする姿や何もせずソファで一緒に寝転がることをゆっくりに望む客も多い以上、跳ねるだけでは問題があるといえる。 よって赤れいむBは偉大な我らが敬愛すべき社長に献上すべきだろう。 赤れいむCは大前提の「人目がないときには跳ねない」を満たすことが出来なかった。 しかしよくよく考えてみれば当然なのかもしれない。 人間だって「廊下を走るな!」と怒られて廊下を走らないのは理解出来るが、「廊下を歩くなんて偉いぞ!」と褒められる奴は早々いないだろう。 そして、体に因果応報を覚えさせることで何かをしない方向に持って行くのがこの実験の趣旨。 それゆえ、跳ねなかったことと褒められたことの間に因果関係を導き出すことが出来ないのだろう。 あと、人間が(見えて)いないときの行動を褒めるという形式になる以上、ほかの動物同様、何を褒められているのかが理解できないのかもしれない。 いずれにせよ、跳ねなかったことを褒める方法はよほどの改良案がない限りは何の効果もなさないだろう。 更に、人間がいるときは怯えきった表情で最小限の運動を繰り返すため、赤れいむAと同様の理由でも商品としての価値がないのだ。 ある意味いちばん需要のない代物になってしまったと言えよう。 よって赤れいむCは・・・辛いものに対する耐久実験にでも回しといてください。 赤れいむDはいたって平凡な馬鹿になった。 「人間がいないところでは跳ねない」をまったく満たさず、「人間がいるところでは積極的に跳ねる」も多少しか満たせていない有様だった。 はっきりいって何処にでもいる本当にいたってごくごく平凡で没個性な何の面白みも無いゆっくりだ。 まあ、需要が無いことも無いだろうがこれをあえて売る意味はまったく無い。 よって赤れいむDは「事故防止のための強制的にゆっくりさせる薬品とその解毒剤」の実験にでも利用して置けばよいだろう。 【追加実験】 赤れいむCは底部をこんがり焼かれてしまい、動くことが叶わなくなってしまっていた。その状態で、ひんやりした台の上に置かれている。 口にはよくわからない器具がはめられていて閉じることもこれ以上開くこともままならず、ここ3日ほどまともに言葉を発していない。 もちろん食事も水分も一切取っていない。しかし、体に差し込まれた管から、十分すぎるほどの栄養が与えられているので飢えることはまったく無かった。 「よし、今日はスコヴィル値370万まで行ってみようか?」 「了解、一応500万まで作ってありますよ」 「そうか、準備が良くて助かるよ。んじゃ、まずはジョロキアナ並みの100万スコヴィルで・・・♪」 赤れいむCの前にやってきた二人の人間はそんなやり取りの後に、スポイトで正体不明の液体を吸い上げ、赤れいむCの舌に垂らした。 その瞬間、赤れいむCの舌と、全身に常軌を逸した激痛が走る。 「――――――――――ッ!?!?」 かっと充血した目を見開き、ぷるぷると痙攣しながら、餡子を吐き出す。 しかし、それくらいではその辛さが収まるはずも無かった。 吐けども吐けども舌が、全身が、目が痛い。体中が焼けるように熱い。 「えぅ・・・!?あぁ!?・・・うぅ!?」 動かない足で動こうと試みるが、動くはずも無い。ほかの部位をいくら動かしたところで何の抵抗にもならない。 「あぉ!?うぇ!!?・・・あぁあぁぁぁあああ!!?」 研究員を罵倒しようにもはめられた器具とあふれ出す餡子が邪魔をする。 視界は涙でぼやけ、頬は涙でふやける。それでも赤れいむCの涙が枯れることは無い。 いくら餡子を吐き出しても一向に意識が遠のいてくれない。 水分も栄養も、体内に直接ねじ込まれたチューブから送り届けられる同じゆっくりの餡子とオレンジジュースがいつまでも補い続けてくれる。 ゆっくりは餡子を失わない限り死ぬことが無い。しかし、ほかの仲間の餡子を補充されると意識が侵食される。 そして、意識が混濁し、精神が壊れてしまうはずなのに・・・赤れいむCの意識は途絶えることが無かった。 それは1週間の実験でタバスコソースによって辛いものに多少慣れてしまった赤れいむ以外の意識は舌からの刺激でショック死してしまうからだった。 そうして一切の意識を失った餡子は赤れいむCのものとして吸収され、赤れいむCを生かすためだけに機能し続ける。 「よーしっ、次は108万くらいで♪」 「―――――――ッァゥェぅぁ!?!?」 赤れいむCはショック死するか、カプサイシンそのもの(1600万スコヴィル)を用いた実験が終了し、廃棄処分されるまでこの苦しみから解放されることは無いだろう。 「おきゃーしゃん!いっちょにゆっきゅちちようにぇ!」 赤れいむAはそう言うと“おかーさん”の薄い胸に飛び込み、両腕で抱きかかえられた。 見上げると“おかーさん”は上品な笑みを浮かべて赤れいむAを見下ろしている。 「ゆぅ~・・・おきゃ~しゃんあたたきゃい・・・」 呟きながら、私服の笑みを浮かべて“おかーさん”に頬ずりをする赤れいむA。 やがて、その暖かさに包まれてうとうとと舟をこぎ始めた。 「ゆぅ~・・・ゆぅ~・・・ゆぅ?」 しばらくして目を覚ますと“おかーさん”は四つん這いになってご飯を食べていた。 「おかーしゃん、れいみゅもいっちょにゆっくちちゃべりゅよ!」 しかし、赤れいむAがご飯に近づくと“おかーさん”は前足で赤れいむAを払いのけてた。 「ゆぎゅ!?」 そして、その拍子に頭を打った赤れいむAは気を失ってしまった。 再び赤れいむAが目を覚ましたとき、“おかーさん”は壁の上を這っていた。 「ゆゆっ!おきゃーしゃん!れいみゅもかべをにょぼりゅよ!」 そういって元気良く壁にぶつかっていくが、何度やっても失敗してしまう。 それからたっぷり5分ほど壁を登ろうと努力を続けるも、“おかーさん”は羽ばたいてどこかに飛んで行った。 「ま、まっちぇよ!おきゃーしゃん!?」 そういって“おかーさん”を追いかけているときに、何かに激突して赤霊夢Aはまたしても気絶してしまった。 またまた赤れいむAが目を覚ますと“おかーさん”は踊っていた。 「れみりゃののうさつだんすだど~♪」 「うっう~♪」 “おかーさん”とほかの家族たちが手を振り、腰を振り、楽しそうに踊っている。 「ゆっ!おかーしゃん!れいみゅもいっちょにおどりゅよ!」 そういって元気良く“おかーさん”のそばに跳ねていった赤れいむAを見て、満面の笑みを浮かべた。 「う~?おいしそうなまんじゅうだど~♪」 そして“おかーさん”は赤れいむAをおもむろに掴むと口元へといざない、思い切り良く噛り付いた。 「おあーぢゃぁんゆっぐぢやべでええええ、ゆべっ!?」 「・・・・・・まさか、気絶するたびに刷り込みしなおしとは・・・」 一部始終をいとどけた研究員の男女は頭を抱えていた。 「効きすぎですね。明らかに失敗です」 「・・・はあ、社長の知人だか知らんけど一体何処の馬鹿だよ。こんなわけのわからん薬作った奴は・・・」 赤れいむDは何故か身動きの取れないままひたすら放尿を続けていた。 じょろろろろろろろろろ・・・ 「ゆぅ~・・・ちーちーがちょまんにゃいよ!」 しかも、その尿は餡子の濃度がひどく酷く粘り気がある。 赤れいむD自身は知る由も無いがそれは紛れも無く先ほど飲まされた薬品の副作用だった。 じょろろろろろろろろろ・・・ 「ゆぅ~・・・ほどぢちぇちーちーちょまっちぇくれにゃいの~?!」 服用させられた薬品というのは、ゆっくりの餡子の跳躍移動機能をつかさどる部分を液化させることでその機能を著しく低下させるものだった。 この状態から回復する方法は餡子を補給すること。 すると、その餡子が液化した部分の機能を代行し、液化したものは尿になって出て行くというものなのだ。 じょろろろろろろろろろ・・・ 「・・・ゆぅ~、きもちわりゅいよ~!」 が、何か色々と手違いがあったらしく、餡子の半分以上が液化してしまった上に、補充する餡子が片っ端から液化させてしまっていた。 じょろろろろろろろろろ・・・ 「ゆぅぅぅぅううう!どほぢでぢーぢーどばっできゅれにゃいのおおお!」 延々と水分を放出しすぎたせいで、気がつけば尿道付近の皮が溶け、穴が広がっていた。 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・ 「ゆゆっ!ぢーぢーがいっぱいでりゅよ!?」 それに比例して体内の餡子と水分の失われる速度も増していく。 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・ 「ゆぎぃぃぃいいいい!ぎぼぢわりゅいよおおおおお!」 そんな赤れいむDの様子を見た研究員達は「ああ、こりゃもうだめだ」と判断し、チューブによる餡子と水分の補充を止めた。 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・ 「ゆううう・・・おにゃかがしゅいたよ・・・」 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・ 「おみずさんがのみちゃいよぉ・・・」 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・ 「ゆ・・・ゆ、う・・・」 放尿の勢いが弱まる頃には、赤れいむDはもう死んでいた。そして、その結果を見た研究員の一人がぼやいた。 「外出するときはケージに入れるのが一番だよな、常識的に考えて・・・」 ---あとがき--- 前回の研究の2番煎じ以外の何者でもないですね、こいつは。 実験に関しては色々おかしなところがありますが、突っ込まない方向で。 (そもそも「ケージに入れろ」で一蹴される時点で話にならんわな) byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/344.html
いたい…からだがおかしいよよ… なにも…みえないしきこえないよ… すごく…くさいよ… たすけて…まりさ…まりさ…まりさ… あるところにゆっくりたちがいました。 れいむはいつものように草原を友達のまりさや他のみんなと走り回って ちょうを捕まえたりお花を食べたりして過ごしていました。 みんなとてもゆっくりしていてそれはそれは平和な日々でした。 平和は突然終わりを告げました。人間の男が一人。 大きな鉄の馬を引き連れてやってきたのです。みんなロープで羽交い絞めにされて それぞれが箱に入れられて。ゆっくりたちは男に連れ去られていきました。 「れいむたちをはやくおうちにかえしてね!!!」 「ゆっくりはやくかえして!!!まりさおうちかえる!!!」 「わかるよー!おうちかえるよー!」 「ちんぽ!!!おうちんぽ!!!」 「うっー!うっー!かえさないとさくやにいいつけちゃうぞー!」 男はゆっくりたちを部屋の一室に閉じ込めると 箱からゆっくり共を開放した。紐はつないだままだが。 なんとも気持ちの悪い生き物達だ。この便所虫共が。 だが、新薬のテストと俺のストレス解消にこれほどもってこいなやつらも居まい。 男はリーダー格と思われる胴体つきのゆっくりれみりゃに近づいて 思いっきり蹴り飛ばした。 「う゛っーーー!!!」 そのまま壁に激突してうずくまるれみりゃ。 他のゆっくり達もすかさず騒ぎ始める。 「な゛に゛ずる゛のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「はやくあやまってね!!!」 「やかましいぞ。この糞共がァ!!!てめぇらみたいなゴキブリ以下の便所虫がァ」 ガシッ! 「わ、わからないよー!!!」 「人間様に話しかけてんじゃねぇぇぇぇ!!!!!!」 ドグシャッ!!! ゆっくりちゃんは男に強烈に投げつけられて壁に張り付いている。 だが死んではいない。こいつらは中身がなくならない限り死なないのだ。 「わ゛、わがならいほぉ…わがらないほぉ…」 残った三匹も男の残虐性と自分達の立場に気が付いたらしい。恐怖で逃げることも出来ない。 モチロン逃がすつもりも毛頭男にはない。 「バカなオマエラでもよーくわかっただろぅ。お前らは生きてる価値すらない ゴミだ。カスだ。便所虫だ。だから俺が有効活用してやるよぉ。」 恐怖で動けなくなったゆっくり達に近寄る。手始めはコイツがよさそうだ。 男はゆっくりれいむを鷲づかみにするとそのまま持ち上げて机の上に縛ってた紐を使って しっかりと固定した。 「ゆ゛っ!!!なにするの!!!ゆっくりやめてね!!!」 「お前らみたいな家畜以下の糞に、髪や飾りなんていらないんだよ。 だから全部綺麗にしてやるよ。」 男は手に持っていたバリカンに電源を入れる、ブブブブブブブブブブとバリカンは れいむの髪を刈り取るために鼓動を始めた。 ゆっくり達は生まれつき装飾品を持って生まれる。なぜかは分かっていないが 装飾品を取られる事をこいつらは異様に嫌がる。固体によっては死ぬ事よりこちらを守るほうを 選ぶくらいだ。まぁ便所虫の考える事は俺にはわからん。 「やべで!!!それだけはやべで!!!や゛だぁ!!!ゆっくりできないよぉ!!!」 もちろん糞饅頭の意見は無視して、俺はバリカンを突き刺すように入れていった。 かなり雑だったがこれでよし。他のやつらもチャッチャとやるか。 坊主になったれいむは見るも無残な頭になっていた。所々餡子も漏れている。 ショックだったのかれいむは地面に伏せてずっと泣き続きっぱなしだ。 「さ~て~と~っと。次はオマエだよ黒ゴキブリ。」 ひょい 「ま、まりさのぼうしかえして!!!ゆっくりがえじでぇぇぇ!!!」 帽子をとられたまりさは必死に取り返そうと男に体当たりを仕掛ける。 バレーボールサイズのまりさが人間に勝てるわけが無い。残りは相変わらず震えて怯えているのに さっきの見せしめもすぐ忘れるようなミニマム脳みそなんだなコイツァ… そんなに帽子が大事か下水野郎。 「ウザェよ。」 言うが早い。男はまりさを蹴り飛ばし、殴る。殴る。殴る。 「ぶべっ!!いぎゃっ!!ぐぽぁ!!」 「さーてと、このくらいでいいかな。」 まりさは男に殴られてボコボコに腫れていた。衰弱しきっていて 口からは弱弱しく「ゅーゅー」と呼吸のような声しか聞こえない。 「ジャカジャーン!ペーンチー!」 男は某猫型ロボットの如くペンチを取り出して 膝でまりさを挟むと口を開かせた。 「まあ、存在自体害だから虫歯って事で 全部ぶち抜いていいよね。歯医者さんごっこしますよ~」 男は楽しそうにまりさの口にペンチを入れていく。 だがまりさはたまったものではない。 「ん゛ーー!!!む゛ぅ゛ーー!!!」 男は無慈悲にまりさの口にペンチを突っ込む。 そして力任せに引きちぎる様に歯を引き抜いていった。 「やっと終わったー。オマエ無駄に歯が多いんだよ。」 口を餡子まみれにしてまりさは気絶している。敏感な歯を全部ペンチで抜き取られたのだ。 健康的な歯肉だったゆえに余計に痛みは半端ない。 「さてと、それじゃもうちょっとがんばりますかねぇ。」 まだ、終わりじゃない。 男はペンチを置く。今度は4枚刃のカミソリを取り出した。 残りのゆっくりたちを箱に押し込めて、気絶してるまりさを持ち上げて台所に運ぶ。 そして口の中を洗うために水を直接蛇口から放出した。無論激痛でまりさは即座に起きる。 「む゛ぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 「おお、起きた起きた。よしよし。オマエの歯茎はグチャグチャだ。 だから優しいお兄さんがしっかり整えてやるよ。」 起きたばかりのまりさはわけがわからない。口の中にまた何かが入ってくる。 「!!!!!!!!!」 「ちゃんと歯磨きしまちょーねー。」 男はまりさの歯茎を平らにするように、カミソリを歯磨きみたいに使って ブラッシングならぬカッティングを施していく。覚醒したばかりのまりさは 新しく凄まじい痛みにまたも意識を失ったのだ。 ゆっくりたちの悪夢はまだ始まったばかりだ。